N(ノーム)F(フェイス)

43「起床」

 研介は目を覚ました。

 まぶたは薄らと開き、光と人影が見えた。

 ゆっくりと動く首を動かし、その人影に目線を向けた。

 まぶたが完全に開いた。

 その人影は男性、老けた男性だった。

 研究者の様な格好をしたその男性は、研介の目をよく見た。

 「そろそろだと思ったよ、研介」

 「お前、は…誰…」

 まだ頭が回らなかった。

 「大丈夫。WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)じゃない」

 力を入れ、上体を起こした。

 身体が動き始めたからだろうか、頭がはっきりと動き始めた。

 流石に床ではなくベッドで寝ていたようだった。

 「NONEFACE(ノームフェイス)か?」

 「その通りだ。研介、君は爆発は覚えているかい?」

 「ああ、その後お前が回収してくれたのか?」

 「そうだ。立てるかい?僕の仲間の所へ案内する」

 そう言って、男性は手を差し出した。

 研介はその手を掴み、ベッドから降りた。

 他にもベッドがあり、大斗達が寝ていた。

 「何故、俺の名前を知っている?」

 男性は答えた。

 「それは…僕が名付けたからだ」

 研介は驚愕した。

 ここ数日間驚く事は多くあったが、

その中で一番だろう。

 「それじゃあ…お前は、俺の父だと言うのか?」

 「そうだね。僕の名前は加山総一朗。研介、君の父親だ」

 その部屋を出て、通路を進んだ。

 「確か、父親は探しても見つからなかったはずじゃ…」

 「そう、あのとき僕は、この研究所にいた」

 「あのとき…15年前の事か!?」

 「その事件の真相も、今いるゾンビも、君の体質も、僕は殆ど知っている」

 「教えてくれ、もしあんたが俺の父だって言うんなら、いや、そうじゃなくても、全部教えてくれ」

 総一朗と研介は止まった。

 「分ってる。だけど他の仲間がまだ寝ている。入ってくれ」

 研介はそこにある扉を開け、中に入った。

 生活するような環境の部屋だった。

 そこには5人、全員研究者のような格好をしていた。

 「研介、君の服が酷かったから、そこにあるオリーブドラブの戦闘服を用意した。別に前のが良かったならそれでもいい」

 「…ありがとう」

 そう言って研介は机の上にある戦闘服を手に取った。

 別に特別な所はない。

 『よう、あんたが研介か』

 『そうだ…』

 『まあ、突然こうなったんだ、困惑するな。ところで、ここで着替えるのが嫌なら、そこにシャワールームがある』

 『いや、ここでいい』

 すぐさま着替えた。

 「それじゃあここで待っていてくれ。すぐ仲間の方も起きてくるだろう」

 総一朗は女性を一人呼ぶと、そのまま研介が寝てい部屋へ戻った。

 しばらくすると、大斗達が起きてきた。

 「適当に座ってくれ。ここからは英語で話す」

 総一朗は近くにある椅子に座った。

 『左から、エドゥ、ライツ、宇春マーチュエ、ドナルド、そして僕が総一朗だ』

 『まず、どこから話しましょうか』

 宇春マーチュエが言った。

 『まずはありがとう。今何時だ?そして俺等はどれくらい寝ていた?』

 『今は7時、約12時間寝ていたが、そのうち7時間は普通の睡眠だろうよ』

 エドゥが言った。

 『ここはどこだ、お前らは何者なんだ?』

 『ここは海の上、船の中。私達はNONEFACE(ノームフェイス)』

 ライツは言った。

 『NONEFACE(ノームフェイス)…ダリエルが言っていました』

 『そういえば、ダリエルはあなた達の仲間だと言っていたけど、そうなの?』

 『そう、ダリエルはこの事件について何て言っていた?』

 ドナルドは言った。

 研介は、ダリエルが言った全ての事を説明した。

 『少し違うな…分った。全て話そう。これから僕が言うことは真実だ』

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