7「らりるれろ」
「あれ、研介さんそんなに濡れてどうしたんですか?」
「実はな…」
「なるほど、そんな事があったんだ。」
「ほら、鍵。」
大斗は調理室の鍵を、舞に手渡し、その場を去った。
「あ、優理さん、これ。」
研介はポーチからスク水を取り出し、それを渡した。
「お、ちゃんと持ってきたね。ご苦労。」
優理はそれを手に取った。
「おい、何してるんだ、早く行くぞ。」
「大斗さん、この服どうするんですか?」
「保健室に乾燥機があったはずだ。」
「その間服はどうするんですか?」
「適当に着てろ。少し休憩にしよう。」
龍一と愛美は調理室に入る。
「愛美さんは料理とかするんですか?」
「出来るわよ。あまり人に自慢する出来ではないけど。」
「その机の上に書かれているのは何でしょうか。」
その机の上には、こう書かれていた。
それは漆黒より黒く、純白より白い。
それは海より広く、一畳より狭い。
それは鋼より硬く、紙より脆い。
それは地球のように大きく、蟻のように小さい。
それは人間なら持っている。そこは変わらない。
「わからないわ。他にもあるかもしれないわ、探してみましょう。」
「ありました。」
龍一が言っている机には、こう書かれていた。
一
の
十の位 0 1 2 3 4
1 あ い え お
2 か き く け こ
3 さ す せ そ
4 た ち つ て
5 に ぬ ね の
6 は ひ ふ へ ほ
7 ま み め も
8 や わ ゆ よ
9 愛 国 者 は ?
「うーむ、消えているもののありますが、これは対応表ですね。」
「そうね、まだあるかもしれないわ、探してみましょう。」
「愛美さん、ここに電子ロックがあります。」
「どうやら、2桁の数字を3つ入力すると解除するようね。」
「でも、数字が分からないんですが?」
「そこなのよね。多分、あの文とあの対応表がヒントなのかしら。」
「それでしたら、あの文の答えは3文字ですね。」
「人間なら持っている、ね…何かしら?」
「とりあえず、総当たりでいきましょうか?」
「答えが分からないなら、それでいいわ。」
「3文字、さらにこの表の中にある文字なら…頭…知能…心…考えられるのはこの辺りでしょうか?」
「そうすると、{あ}は01、{た}は04、{ま}は07ね。」
龍一はその数字を入力する。
しかし、開かない。
「次は、{ち}は14、{の}は45、{う}は01ね。」
またも開かない。
「すると残りは、{こ}は42、{ろ}は…09でいいわよね。」
龍一はそれを入力する。
カチッという音がなり、鍵が開いた。
中にはコンピュータ室の鍵が入っていた。
「ここがコンピュータ室ですね。」
「うん開けるよ。」
優理は扉を開ける。
そこにはゾンビはいなかった。
代わりに、どこかの部隊であろう男がいた。
「誰!?」
優理は銃を構える。
その男は言った。
「俺はダリエル・j・クライスだ。俺はゾンビウイルスを作った組織の一員だ。」
「あなた達がゾンビウイルスを…」
「作った…まさか、私たちを殺しに!?」
「いいや、俺は話をしに来た。まずはその物騒な物を下げてくれ。大丈夫だ、何もしない。」
「話ですか?」
優理は銃の構えを解いた。
「ああ、話だ。奴らの組織について話そう。」
「奴らの組織って一体?」
「グリフォンだ。」
「グリフォン?」
「組織の名前だ。」
「その組織は何を?」
「我が研究所を襲った組織だ。そして、ゾンビウイルスをばらまいた。」
「なぜ、ゾンビウイルスをばらまいたんですか?」
「いや、それは分からない。」
「なぜ、ゾンビウイルスを作ったの?」
「ゾンビウイルスは始め、ロシアのシベリア永久凍土で発見されたあるウイルスを研究した末に出来た。」
「インフルエンザウイルスの遺伝子が8個なのに対し、そのウイルスは500個ほど持っていた。だが、そのウイルスは単細胞生物にしか潜伏しなかった。そうゆうウイルスだった。しかし、そのウイルスを研究し、改造していくととてつもない物が出来た。そう、ゾンビウイルスだ。ゾンビウイルスは厳重に保管されていたはずなのに、奴らが現れた。奴らは研究所を襲い、ゾンビウイルスを盗み出し、それを世界にばら撒いた。ゾンビウイルスにかかると死ぬ。だからいずれ腐敗し、無くなる…という訳ではない。ゾンビウイルスは、元は単細胞生物に潜伏するウイルスだ、死体は主に単細胞生物に分解される。だが、ゾンビウイルスがその単細胞生物を逆に無くすんだ。だから、腐敗するのが遅くなる。そうだな、全て消えるのにざっと10年といった所か。グリフォンがやばい事を企んでいるのは確かだ。実際、ゾンビウイルスというウイルスという生物兵器を世界にばら撒き、数えきれないほどの死人を出している。」
「俺は今、グリフォンに所属している。だから自由に動けない。お前らに、グリフォンをつぶしてほしい。」
ダリエルはそう言うと、スモークを炊き、どこかに消えてしまった。
「どうやら、私たちはとんでもないことに首を突っ込んでしまったようだね。」
「そうですね。」
ダリエルが去ったあとには、音楽室の鍵が落ちていた。
それを拾って、コンピュータ室を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます