9「脱出」

 愛美達4人は4階に行った。

 美術室が開いており、そこに行った。

 美術室の黒板には、大きく{硫酸}と書かれていた。

 教卓の上には3つの鍵穴と3桁のダイアルがある箱が。

 それぞれの机の上には、NやHeなどの元素記号が書かれた木箱が置かれていた。

 「これは何でしょうか?」

 龍一は近くにあった{O}の木箱を手に取ると、それを見渡したり、振ったりした。

 すると中から、何かしらの金属音が聞こえる。

 「中に何か入っているようですが、壊しますか?」

 「ええ、いいわよ。」

 龍一は木箱を壁に叩き付けた。

 木箱は壊れ、中から鍵が出てきた。

 「鍵だね。」

 「あの鍵穴のどれかに差し込むんじゃないですか?」

 「そうですね。」

 順番に鍵を差し込んでいく、うまく入ったのは3つ目の鍵穴だ。

 「あと2つですね。」

 「この中から探すんですか?結構大変ですよ。」

 「大丈夫、4人で探せばすぐ終わるよ。」

 「いや、その必要は無さそうよ。」

 「え!?何ででしょうか?」

 「硫酸の化学式はH₂SO₄、{H}と{S}と{O}の鍵でいいわ。そしてそのダイヤルは、おそらく原子の数ね。」

 「なるほど。」

 その後、龍一は{H}と{S}の木箱を壊し、鍵を入手。

 2つの鍵を差すと、ダイヤルを214にした。

 箱を開けると、中には職員室の鍵が入っていた。




 「とりあえず、ここに寝かしておきますね。」

 「分かった。」

 研介は佐々木を保健室のベッドに寝かすと、佐々木が何か持っていることに気が付いた。

 理科室の鍵だ。

 研介が鍵を拾った時、無線が来た。

 「はい、こちら研介。」

 「こちら愛美、今4階にいるわ。職員室の鍵を入手したから、今からそちらに渡すわ。」

 「4階に行けるようになったんですか。それなら丁度良いところです。理科室の鍵を入手したので、そちらに渡します。」

 その後、2階の踊り場にて、鍵を交換した。




 1階職員室。

 そこにはパソコンが2台、電源が付いていた。

 1台は理科室の人体模型が逆に映し出されており、もう1台はいつものように「パスワードを入力してください」状態だった。

 「パスワードか、多分この人体模型がヒントだ。連絡しよう。」




 「こちら愛美。」

 「こちら大斗だ。今理科室にいるだろ。」

 「ええ、それが?」

 「人体模型を調べてくれ。」

 「分かったわ、ちょっと待ってて。」 

 数分後。

 「肝臓に3168と書かれているわ。」

 「そうか、ありがとな。」

 大斗はそう言うと、無線を切った。




 「人体模型には3618と書かれていたらしいが、多分違う。」

 「そうですね、このモニターには、逆さまに映ってますし、多分逆さまにしてみればいいんじゃないですか?」

 「そうだな、やってみよう。」

 研介は、近くにあった紙に3168と書くと、それを逆さまにして見た。

 「えーと、89I…Eですかね?」

 「まあ物は試しだ。それでいこう。」

 パソコンに89IEと打ち込んだ。

 パソコンからは、「シャッターを開けました。」と表示された。




 「愛美さん、シャッターが開いています。」

 「あら、これで屋上に行けるわね。」

 愛美達は屋上に行った。

 そこには死体と銃があり、その横には校長室の鍵が落ちていた。

 「み、皆!あれ…」

 外を見ていた優理が叫んだ。

 「どうしたのよ…って!ええ!?」

 驚いた愛美を見て、龍一と舞が駆け寄ってきた。

 「お、おい…」

 「あれって…」

 「ゾンビの大群!!」

 「下へ行くわよ!」

 4人は急いで下へ駆けた。




 2人と合流する前に校長室へ立ち寄った。

 中央の机の上に1つ、手帳があった。

 取ってくださいと言わんばかりの配置だったため、取った。

 そして、マンホールを開けるための道具が、棚の中に入っていて、それを入手し、校長室を出た。




 そして2人と合流した。

 「どうしたんですか?」

 龍一は慌てて説明する。

 「それなら、籠城はどうだ?」

 「うん、そうなんだけど…」

 「明らかに人型ではないものが混じっていたわ。」

 「何ですか?それ。」

 「よく分からないですが、突然変異といったところでしょうか。」

 「突然変異?」

 「ええ、あんな大きさのものと戦うのは危険です。逃げましょう。」

 「そうか、逃げよう。でも、どうやって逃げる?」

 「すぐ外にマンホールがあったはずです。そこに行きましょう。」

 「そう思って、これを持ってきたわ。」

 愛美はマンホールを開けるための道具をもって、そう言った。

 「それなら話は早い。行こう。」

 読者は忘れている方もいるかもしれないが、2人が行動する時は必ず研介が佐々木を背負っている。

 6人(+1人)は走って行った。




 「もうここまで来てる!」

 昇降口には、もうすでにゾンビが入って来ていた。

 「研介!チェンソーを貸せ!」

 「は、はい!」

 研介は佐々木の背負っていたそれを取ると、大斗に渡した。

 大斗はそれを手に取ると、大きく振り回した。




 外に出た。

 遠くにゾンビ以外の声がする。

 「あれですか?その突然変異ってのは。」

 「ええ。」

 ゾンビに囲まれて何も見えないが、その声から大きい物と思われる。

 「どけどけ!」

 大斗は相変わらずチェンソーを大きく振り回している。

 そして突然、そいつは現れた。

 そいつは大斗の振り回すチェンソーを、腕で受け止めた。

 その時だった、横から突然何かが飛び込んで、そいつと一緒に壁にぶつかった。

 突然変異だ。

 幸い、そいつが立っていた所はマンホールの上だったため、すぐに蓋を開け、中に全員入ることができた。

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