5「またかみの話ししてる」

 踊り場。

 アイテムの受け渡しはここで行っていた。

 「これが例の物か。」

 「ああ、くれぐれも慎重に…って、これただの鍵だから。」




 2階、図書館。

 「図書館か、懐かしいな。」

 「よく行ったんですか?」

 「笠原って子が可愛かったんだよ。」

 優理は腕を組みながら言った。

 「え、それじゃあ本は?」

 優理は頭を傾げる。

 「そんなに好きじゃなかったかな。」

 「そうなんですか。」

 舞は少し残念そうに言った。

 「正確には、好きなジャンルの本が無かったから、かな。」

 「好きなジャンル?何のジャンルですか?」

 「春画だね」

 「春画って何ですか?」

 「エロ本の江戸時代の呼び方。」

 へ、へえ―と、舞は少し困ったように相槌をうった。

 「とりあえず、その話は置いときましょうよ。」

 舞は空中で物を置く仕草をした。それに対し優理は、「えー」と言


いながら、空中で物を持つ仕草をした。

 「いや、話もたないで下さい。」

 「舞ちゃんがツッコミをした!?でも、舞ちゃんが突っ込む方でもいいね。」

 「い、いや、私はそんな子じゃありません。そんな事より、何かあるか探しましょうか。」




 数十分後。

 「何も無い。」

 「そうですね。どうしましょう。」

 図書館の中は本で埋め尽くされている。

 「全く、こんなに散らかったらむらら木さんを呼んでくるしかないじゃないか。」

 「あの人のことを欲求不満みたいな言い方しないでください。確かにそんな感じですけど…あの人の名前はアララギです。」

 「失礼、噛みました。」

 「違います、わざとです。」

 「失礼、噛みまみた。」

 「わざとじゃない!?」




 優理がとある本を広げると、何か落ちてきた。

 「メモ?」

 「どうしました?」

 「この本を開いたら、このメモ落ちてきた。」

 「何か書いてますか?」

 「ちょっと待って、えーと、なにこれ!?」

 「珍百景で見ありましたか?」

 「いや、58249163710と名月の下?なにこれ?」

 「本の名前です。」

 「どうゆう本?」

 「最新刊は10巻。平安時代の恋愛を描いた物語です。あ、あれです。」舞はその本を指さす。

 「これを…この順番に並べればいいのかな?やってみよう。」




 「10巻がないですね。」

 「うん。そしてこれ、バーコードだよね。」

 「そうですね。」

 本の裏表紙がバーコードみたいになっている。

 「まさかここでおっさんの頭を見ることになるとは。」

 「髪じゃないです。紙です。ペーパーです。」

 「ペーパーマリオは神だったな。それにしても、10巻どこにあるの?」

 「書庫じゃないですか?」

 「そうだね、行こう。」




 二人は書庫に入り、本を探す。

 「あ、あれじゃないですか?」

 舞が指さす方には10巻があった。

 「よし!あとはこれを並べて、バーコードバトラーで読み取ろう。」

 「あの…それゲーム機です。」

 優理は本を手に取り、後ろを振り向いた。

 「危ない!」

 そこには、ゾンビがいた。

 ゾンビはもうすぐそこまで来ている。

 優理はハンドガンを取り出すと、標準を合わせて撃った。

 弾丸は直線を描きゾンビの頭に直撃する。予定だった…

 弾丸はあろうことかゾンビの頭の上を通り、天井に当たった。

 舞は慌てて引き金を引くが、弾は出ない。

 弾切れだ。

 リロードしてからでは遅い。

 (マミった)

 優理がそう思った時だった。

 1つの銃声とともに、近くにあった窓ガラスが割れ、ゾンビが倒れた。

 優理と舞が窓を見ると、そこには誰もいなかった。

 「今さっきのは、一体何だったんでしょうか?」

 「分からない。でも、私たちのほかにも活動している人達がいるのかな?」

 「いたら一緒に活動出来ればいいんですけど…」

 「どうだろうね。」

 「え!?」

 「この場合、協力してくれるといいんだけど。必ずそうとは限らないからね。」

 「そうですね。」

 「どちらにしても必ず合うと思うから、その時の流れに身を任せよう。」

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