35「神域の予測者」

 研介達は道路に出た。

 そこには中型の軍事トラックが止まっていた。

 『乗れ』

 ウォルターは後ろの扉を開けて言った。

 「命令口調……」

 研介達は乗り、ジョンとメリオは前に乗った。

 『しっかり掴まってください』

 メリオが言った直後、エンジンがかかった。

 途中、TV局に寄り、ラジオの男性の安否を確認したのか、すぐに戻った。

 その後、数十分後。

 研介達は車から降りた。

 メリオの運転テクニックは相当だったようで。

 『おいメリオ。毎回言ってるが、もう少しどうにかなんないか?』

 乗車中にもジョンはこう言っていた。

 『なりませんね』

 メリオはこう答えていた。

 『いつもこれか』

 研介は顔を上げた。

 『ここですか?』

 『ああそうだ。付いて来い』

 研介達はウォルターについていくと、梯子があった。

 梯子を上って、塀なので降りた。

 『お帰り、あれ?後ろの人達は?』

 近くにいた男性が言った。

 『日本人だ。とある理由があって来たらしい』

 『あの、その方は?』

 『あ、俺は部隊の一人。アビスと呼んでくれ。そっちは自衛隊だね』

 『はい、そうです』

 『んじゃ、また付いて来い』

 ウォルターは研介達を連れて室内に行った。

 広い部屋に着いた。

 『基本的に入ってはいけないところ以外はどこに行ってもいいが、出ていくときにはアビスに言え』

 ウォルター達はそう言うと、部屋から出て行った。

 「さて、これからどうするか」

 その時、周りに歓声が巻き起こった。

 「何でしょうか」

 「あれじゃないかしら?」

 愛美が指さした所には大型のディスプレイがあった。

 「お、FPSじゃん」

 「信太さん、やってみればどうでしょうか?」

 「そうだな。やってくる」

 信太はそう言うと、人の群れをかき分けて行った。

 『こいつ強すぎんよ!誰か止めてくれ!』

 『ならば俺がしてやるぜ』

 信太はそう言いながらPCの前の椅子に座ろうとした。

 『久しぶりだ、信太』

 『ん?お前はジョエル!?』

 『神の動体視力』

 『神域の予測者』

 2人の台詞がシンクロした。

 観客から歓声が湧き上がった。

 『すげえええええ!!神試合が見られるぞ!!』

 『うおおおおおおおお!!!』

 それを見ていた研介達は。

 「すごいな結構」

 「私も見てきて良い?」

 「ああ、大丈夫だ」

 「私はちょっと出かけてくるわ」

 「分かった」

 愛美は部屋から出て行った。

 一方信太は椅子に座った。

 『よし、やろうぜ。エキシビジョンマッチだ』

 『ふっ、いいぜ』

 歓声と共に、ゲームが始まった。

 15点先取のゲームを2ゲーム先取した方が勝利というゲームだった。

 まず先制点はジョエルだった。

 そして信太が点を取り返すというやり取りが5回あった。

 1回後を取られた。

 信太はマップの中を走り回った。

 突然殺された。

 弾が飛んできたのは壁の向こう側だった。

 「何だと!?」

 そしてジョエルは言った。

 『eye grab you』

 「来たな」

 ジョエルのその言葉は、しばらくの無双を意味していた。

 その通り、しばらくはジョエルの独壇場。

 5点取るまで続いたが、6点を取ろうかという時。

 信太は流れを変えた。

 ジョエルが信太の目の前に出た所を撃った。

 『捉えた』

 ここから変わった。 

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