30「鴉」

 カラスはまるで何かを待つように、研介と舞を睨んでいた。

 研介と舞はカラスに標準を合わせ、銃を撃った。

 銃弾はカラスに直撃した。

 通常ならこれはこれは良い事であった。

 しかし、研介は不安が出来ていた。

 「これなら大丈夫そうですね」

 その不安は、的中した。

 舞がそう言った時、研介は気付いた。

 「上だ!」

 舞が見上げると、そこにはカラスの大群がいた。

 「逃げろ!」

 研介と舞が扉に向かって走ると、カラスは追尾するように2人の突っ込んで行った。

 扉を開けた。

 中に入り、必死に扉を閉めた。

 「どうする?」

 2人は考えた。

 「別に戦わなくても良いんじゃないですか?」

 「ん?」

 「だって、鍵を探す為に屋上に行ったので、鍵だけ見つけて逃げれば良いんじゃないですか?」

 研介は数秒考えた。

 「そうだな。でもどうだ、探すという事はそれ以外に注意が行かない。その時に攻撃を受けるかもしれない」

 「なら、2人で探せばどうでしょうか?」

 研介はまた考えた。

 「いや、駄目だな」

 「え?」

 「敵はカラスといえども大勢、そしてこっちは2人だ。理論上、カラスは手分けして襲うことが出来る」

 「そうですね……」

 「となれば、ここは倒そう。準備は良いな?一応これを持っていろ」

 研介は持っていた盾を舞に渡した。

 舞はうなずいた。

 「それじゃあ行くぞ!」

 研介は扉を開けた。

 出た瞬間、カラスが襲い掛かってきた。

 研介はそれらを撃ち落としていった。

 しかし、それは無理が多かった。

 研介はカラス達の攻撃をもろに受けてしまった。

 舞は研介の前に盾を据えた。

 その後少しのカラスは盾に衝突し、自滅した。

 「よし、もう大丈夫だ……」

 「研介さん、あまり無理しないでください。ここは一端下がりましょう」

 「いや、いい」

 「でも……」

 「ここで引くと、恐らく増援が来る。いたちごっこは、あまりしたくない。ダメージを受けて回復のループもしたくない」

 「分かりました。行きましょう」

 舞が盾を据えると、研介は扉を開けた。

 すると、またカラスは襲い掛かった。

 研介はそれを避けた。

 カラスはそのまま盾に当たり自滅した。

 しかし、まだ大勢残っている。

 研介はスタングレネードを取り出し、空に向かって投げた。

 「目、耳塞げ!」

 舞は目と耳を言われた通り塞いだ。

 直後、激しい閃光と爆音があたりに響いた。

 カラスはほとんど屋上に落ちた。

 後は数体のカラスと、大きいカラスのみであった。

 舞は屋上に出た。

 そして、小さいカラスは何処かへ飛んで行った。

 「どうゆうことだ?まあいい、後はそいつだ、行くぞ」

 研介と舞は銃を構えた。

 大きいカラスは羽を広げ、風を起こし後退、それから突進した。

 2人はそれを避けると、銃を撃った。

 カラスは羽を広げ飛んだ。

 そして、研介に向かって突進をした。

 研介は避けるが、舞は避けるが、その風圧で屋上から落ちてしまった。

 「舞!!」

 すぐさま、下を見た。

 そんな研介の横で、カラスは下へと向かった。

 「!?」

 数秒後、カラスは舞を背に乗せ、屋上へ戻った。

 「どうゆうことなんだ?」

 2人とも、訳が分からなかった。

 「生きてる、私、生きてる……何で?」

 舞は泣いた。

 その時だった。

 一発の銃声と共に、カラスは倒れた。

 「へ?」

 「目をやられている、何処だ!?」

 研介はカラスの正面を探した。

 しかし、立ち並ぶビル群の中から探すのはたやすいことではなかった。

 結局、見つかることは無かった。

 「この命中精度、まさか俺たちを襲った奴か?でも何故だ?」

 カラスが向いている方の近いビルは25mだった。

 しかし、絶え間なく動くカラス、しかも目を撃つのは難しい事だった。

 「それより……」 

 研介は舞に近寄った。

 「大丈夫か?」

 「くぁwせdrftgyふじこlp……」

 文字にならない声を上げていた。

 研介は舞の体を揺さぶった。

 「おい!?おい!?大丈夫か?」 

 舞は目を覚ましたように落ち着こうとしていた。

 数分がたち、舞は落ち着いた。

 「舞は先に扉を開けて戻っていろ。鍵は俺が探す」

 舞は頷き、扉を開け、中に入った。

 「さて、鍵を探すか」

 研介は鍵を探した。

 それは早めに見つかった。

 普通に床に落ちていた。

 研介はそれを拾うと、扉を開け、中に入った。

 舞は相変わらずだった。

 「舞、喫煙室に行こう」

 研介はこのままでは行動は難しいと判断した。

 舞もそれを承諾し、エレベータで1階へ行った。

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