第1節「学校」

1「終わり始め」

 秋の中頃のある日の事であった。

 日本、某所。

 その県の警察署に通報が入った。

 それは人が暴れて、更に人を食べているという通報だった。

 警察が半信半疑に現地に着くと、そこには思いもよらぬ光景があった。

 人が人を食べている、ということより思いもよらなかった。

 明らかに、死体が動いているのだった。

 更に1体だけではない、数体いた。

 死体は警官に近づいていった。

 「う、動くな!」

 銃を構え警官は言うが、それらが止まる気配はなかった。

 「う、撃つぞ!」

 警察の手足は震えていた。

 「と、止まれ!止まってくれ!」

 死体がすぐ目の前に来た時、目をつむり、そう言いながら引き金を引いた。

 弾丸は当たったが止まりはしなかった。

 警察は動こうとするが、恐怖で身体が動かなかった。

 「動け!動け!動いてくれよ!」

 気付いた時には、激痛と共に腕の一部が欠けていた。

 そして次の瞬間には、男はそれらになっていた。


 それからしばらくして警察機動隊が派遣された。

 素早く現地に駆けつけるが、全ては遅かった。

 この街は死体、それはその時には「ゾンビ」と呼ばれ、それだらけだった。

 彼らは応戦した。

 しかし彼らは全滅した。


 これらの事をメディアは公表しなかったが、ネット上では瞬く間に広まっていった。


  名無し 234

  とうとう日本も終わりか 

  名無し 235

  こうなってんの日本だけじゃないらしい、ようつべにかなり上がってる

  名無し 236

  まじか情報はえーな

  名無し 237

  アンブレラだろどうせ


 自衛隊が派遣されて、事態は収拾されると思われた。

 そして自衛隊の手によって、その地区は封鎖された。

 しかし、何者かの手によってバリケードは壊された。

 バリケードが壊される時、必ず謎の男が現れていた。

 そんな目撃証言が出ていた。

 そして、1日するかしないかの内に感染は日本中、世界中でも広まっていった。


 こうして世界は終わった。


 少しさかのぼり、自衛隊が派遣された時だった。

 「マジかよ」

 「どうせ製薬会社の仕業だろ」

 ヘリの中ではこんな会話があった。

 「研介もそう思うだろ」

 「ああ、そうだな」

 

 目的地に着き、バリケードを作った。その時だ。

 「今連絡が入った。他のバリケードが壊されたそうだ」

 隊長はそう言った。

 そして、研介達の所にも奴は現れた。

 その男は、灰色のスーツを着ていて、サングラスをしていた。

 その男が手を挙げ、下ろすと、あらゆる所から兵士が出てきた。

 研介達は応戦をしたが、敵わなかった。

 部隊は壊滅した。 

 バリケードを壊し、研介にも銃口が向けられた。

 しかし……

 「こいつは殺すな」

 と、その男はそう言うと、兵士とどこかへ立ち去って行った。


 その後すぐに、ゾンビ達が出てきた。

 研介は必死で逃げることが出来た。

 しかし、どこに行ってもゾンビしかいなかった。

 走っていると、ゾンビの姿は少なくなっていった。

 とある山の中に山小屋があったので、そこで1夜を明かした。

 研介は腕に銃弾が当たって、怪我を負っていたが、その怪我はもう治っていた。

 研介は子供の時から自己治癒力が高かったのであった。

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