2「学校…ゾンビ…うっ、頭が」

 夜が明けた。

 研介は目を覚ますと、本部に状況報告をしようとし、無線を掛けた。

 「本部、こちら研介、こちら研介、応答願います」

 しかし繋がらなかった。

 「あれ?周波数が違ったか?」

 もう1度無線を掛けた。

 「こちら研介、こちら研介、応答願います」

 返答は無かった。

 「やっぱり繋がらない」

 念のため、あともう1度掛ける。

 「本部!応答してくれ!本部!本部!」 

 応答はやはりなかった。

 「駄目だ、何故繋がらないんだ、まさか奴らが?そうとしか考えられない、でも一体何のために…考えるときりがない」


 研介は装備を整えると町に出た。 

 食料の調達と、生存者の捜索のためであった。

 どこもかしこもゾンビであふれかえっても、きっと生存者はいるだろう。

 食料はコンビニとかにある。

 と考え、発電所は壊さないだろうという期待を抱ていた。


 町にはゾンビが道一杯におり、進むのは困難を極めた。

 なので、研介は裏路地を進んだ。

 しばらく進むとコンビニがあった。

 研介はそこで食料を取った。

 相変わらず外にはゾンビが多いので、裏口から出た。

 裏口を出たら、まるで誘い込まれるようにとある場所へ進んでいった。

 「学校か、ここなら広いし、誰か居るかもしれないな。」

 校門をくぐると、奥の車の陰から犬が出てきた。

 鋭く光っている牙と牙の間からは、よだれが垂れていた。

 また、胴体は皮膚が剥がれ、肋骨が見えたり、内臓が見えたりしていた。

 研介は銃を構えると、犬に狙いを定め撃った。

 何発か撃ったところで犬は動かなくなった。

その時だった、横から研介に向かって、犬が体当たりをしてきた。

研介はそのまま倒れた。

必死にもがくが、犬は離れようとしない。

「クソッ!ナメんな!」

研介は腰にあるナイフを取り出すと、犬の頭目がけて突き刺した。

犬は動かなくなった。

研介は犬を退かすと立ち上がり、学校の昇降口に向かった。




学校の廊下は狭く、危険であった。

「まあこうゆう場合、保健室に行くのが正解かな。」




研介が保健室に入ると、自衛隊らしき背の高い男が話しかけてきた。

「初めまして、俺は三神大斗だ。」

「俺は加山研介です。」

研介は聞いた。

「大斗さんはどうしてここに?」

大斗は真剣な顔で答えた。

「俺らがバリケードを作っていた時、怪しい男が現れた。」

「怪しい男?どんな奴でした?」

「スーツを着ていて、サングラスをしていた男だ。あいつは部隊の仲間を殺したが、俺は殺さなかった。」

その男には研介も見覚えがある。

昨日、部隊を襲った男だ。

「大斗さんの所にも。」

「ん?お前の所にも来たのか?」

「ええ、同じ感じに。あの男の目的は一体。」

「考えてもきりがない。それより今は、生き残ることが先だ。」

 大斗の顔が穏やかになった。

「俺らとお前は仲間だ、とりあえず、皆と話しぐらいはしておけ。」

大斗との会話はこれで終わった。




 研介は次に、大学生ぐらいの右手に手袋をしている男性と話した。

 「初めまして、俺は加山研介。」 

 「こちらこそ初めまして、私は坂村龍一です。」

 研介は早速聞いた。

 「なんで右手に手袋を?」

 「これには深い事情があるんです。時が来たら答えます。」

 それが本当でも、中二病をこじらせているのか分からないが、どちらも面倒なことになりそうなので、探ろうとはしなかった。

 別の質問をした。

 「銃は撃てるか?」

 「ええ。」

 「どこで撃ち方を?」

 「ハワイで親父に。」

 「お前はどこの名探偵だ。」

 もう一つ聞いた。

 「どうしてここに?」

 龍一は答えなかった。

 研介もあえて探りはせず、龍一との会話はここで終わった。




 次に研介は、高校生ぐらいの女子と話をした。

 「初めまして、俺は加山研介。」

 「私は小野咲舞です。研介さんはどうしてここに?」

 研介が質問する前に、舞から質問が来た。

 「話すと長いけど、いい?」

 「あ、それならいいです。」

 いいんだ、俺なら聞くけど。

 今度はこちらから聞いてみる。

 「舞はどうしてここに?」

 舞は答えた。

 「朝起きたら、父と母がゾンビになっていたんです。そして逃げていたら途中で大斗さんとあったんです。それでここに。」

 「そうか。」

 「ゾンビを見た時は、ほんとどうなるかと。ラベンダーの香りの香水があってよかったです。」

 「お前は、クロッ○タワー3の主人公か。」

 ちなみに聖水は持っていなかった。

 「舞ちゃんの聖水があると聞いて。」

 横から、赤髪の自衛隊らしき人が話に入ってきた。

 「え、私聖水なんか持っていませんよ。」

 「あの…」

 「舞ちゃんの聖水なら何でm。」

 「自由に喋るな。お前は誰だ。」

 「私は舞ちゃんを変態から守る妖精です。」

 明らかに変なことを言っていると、研介は思った。

 「真面目に答えろ。変態はお前だ。」 

 「もう、しょうがないな、私は喜島優理です。そして百合です。」

 「誰もそんなことは聞いていない。」

 「あ、もしかして変なこと考えてました?まったく、これだから男は好きになれないんです。」

 「いや、考えてないから。」

 「そう言えば、あなたの名前を聞いていませんでしたね。」

 「研介だ。」

 「なるほど、では研介さん。ここであなたがすべき事は1つです。」

 「?」

 「私と舞ちゃんが話をするので、ちょっとどっか行っていてください。」

 優理はそう言うと研介を押した。




 研介が押された先には、自衛隊らしき女性がいた。

 「初めまして、俺は加山研介です。」

 「私は渡邉愛美。あら、誰かと思ったらロリコンじゃない。」

 「ロリ…まあそうですけど。何で分かったんですか?」 

 「なんだ、でたらめで言ったのに合っていたのね。」

 「すげえ。」

 研介はあの男について聞いた。

 「愛美さんはスーツを着て、サングラスをした男に会いました?」

 「何その、イケイケのサラリーマンみたいで全然イケてない人は。」

 「愛美さんあまりそうゆうことは言わないでください。それより、会いました?その人に。」

 「会ったわ。」

 「そうですか。やっぱり、バリケードを作っている時に?」

 「ええ。大斗も会ったらしいわね。」

 「そうですね。」

 「まあ、そんなことはどうでもいいわ。今は生き残ることが先よ。」

 こうして研介は全員と話した。

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