12「鍵のある夢を見る」
その後、彼らは疲れを癒すため寝た。
その中で、大斗は夢を見た。
「おい!しっかりしろ。」
青年の大斗は、瓦礫に埋まっている弟に手を伸ばしていた。
両親は近くに居ない。
大人もだ。
「兄ちゃん!兄ちゃん!」
瓦礫を退かそうとするが、びくともしない。
「駄目だ!動かない!畜生、津波が、もうすぐ。」
しかしどんなに力を入れても、瓦礫を退かすことはできない。
そうこうしているうちに津波が来て、2人はそれに飲み込まれた。
「兄ちゃん!兄ちゃん!」
その幼い声は、大斗に届いていた。
数日後、弟は見るも無残な姿で発見された。
大斗は目が覚めた。
「嫌な夢だった。」
拳を握る。
「俺にもっと力があったら、あいつを助けられたのか?俺ほもう」
外を見る。
日はまだ出ておらず、少し薄暗かった。
「少し早く起きちまった。飯、作ってやるか。」
大斗は料理に取り掛かった。
「あ、大斗さん、おはようございます。」
「ああ、おはよう。飯は出来てる。」
朝御飯を食べる。
「この後はどうします?」
研介が聞いた。
「そうだな…」
「海の方に行ったらどうでしょうか。」
「そうですね、ここら辺は比較的人が多かったですし。」
「でも、この山を越えないと行けないわ。」
「それならこの近くに洞窟がある、その洞窟なら山を越えるより短時間で済む。」
「よし、決まりだな。」
仕度を済ませた後、優理はテンション高く言った。
「出来た!」
「何がですか?」
優理はてってれーの掛け声の後に言った。
「LMGチェンソー(ダミ声)」
「それって、LMGとチェンソーを合わせただけだろ。」
研介が言った。
「そうだよ。持ってみ。」
そう言って龍一にそれを渡す。
「重!持てるんですかこれ。」
「大斗なら大丈夫。」
まだダミ声だ。
優理はそれを大斗に渡す。
「少し重いが、十分に振り回せる。ありがとな。」
「少し…マジか。」
一方その頃。
「これが日本刀か。」
佐々木と信太は置いてある日本刀を持った。
「すごく…鋭いです。」
「そりゃそうよ、日本刀は片刃だから、その分鋭くできるのよ。」
「とにかく鋭いって事だろ。」
そう言って佐々木は刀を振り回す。
「あぶないです、佐々木さん。」
「それで、誰が持つんだ?俺は銃だけでなんとかなるし。」
「私もいいわ。」
「んじゃ、長いのもらい!」
「短い方をいただきます。」
佐々木は長い方の、舞は短い方の日本刀を取った。
「準備は良いな、行くぞ。」
彼らは洞窟へと進んだ。
「ここが洞窟ですか。」
「思ったより狭くないわね。」
「ここは洞窟というより廃坑。」
信太は言った。
「廃坑なんですね。」
「はい、ここは江戸時代中期に掘られた鉱山です。少し入り組んでいますが、整備されてほぼ一本道です。」
「よし、行こう。今すぐ行こう。」
と、佐々木は言った。が、大斗が
「駄目だ。」
と言った。
「何でですか?」
「数人で行った方が、何かあった時に救助ができる。」
「なるほど確かにそうね。」
「それじゃあ、研介、信太、愛美、舞でどうだろうか?」
信太が提案した。
「良いと思います。丁度戦力が分かれてますし。」
「良し、行ってこい。」
「行ってきます。」
「あ、向こう着いたら連絡しますね。」
研介達は廃坑の奥へと進んで行った。
廃坑内を進んでいくと、事務室の様な所に入った。
「ん?」
机の上にメダルのが置いてあった。
「鳥の絵が描かれているわ。かなり古いようね。」
他に何か無いか探すが、何も出てこない。
研介達はそこを出て、先へと進む。
広い場所に出た。
中央に鉄柵で囲われた階段があり、今出て来た通路を入れて3つ通路が分かれている。
階段には扉があるが、鍵穴などは無い。
また、3つ石碑がある。
それぞれに丸いくぼみがあり、それぞれ{1}{2}{3}と書かれていた。
「{1}と{2}と{3}か、何を表しているのだろうか。」
「分からないですね。」
「他の通路に進んでみましょう。」
「そうね、何かあるかもしれないわ。」
研介達は別の通路に進んだ。
通路を進むと、ロッカー室の様な所に入った。
多くのロッカーを調べると、人の絵が描かれたメダルと、意味有り気な紙が見つかった。
その紙にはこう書かれていた。
食物連鎖
ただそれだけだった。
「食物連鎖…このメダルと何か関係があるのでしょうか。」
「分かりません、別の所話探してみましょう。」
その後は、これと言って見つからず、また別の通路へと進んだ。
その通路の先は行き止まりだったが、そこに魚の絵が描かれているメダルが落ちていた。
研介達は広い場所に戻った。
「食物連鎖、鳥、人、魚…」
研介達は悩み込む。
「1、2、3は順位ですかね?」
「そうだな、1は人だが、2と3が分からないな。」
「2は鳥、3は魚よ。」
「え?」
「魚を食べる鳥がいるのよ。」
「そう言えばそうだった。」
1に人、2に鳥、3に魚のメダルをはめると、扉が開くようになり、研介達は2階へと上った。
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