WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)

50「アリスインヘリコプター」

 ヘリは甲板から1メートル上空でホバリングしていた。

 操縦席にはアリスが居た。

 大斗は扉を開けた。

 『アリス?何でここに?』

 『総一朗から連絡があったのよ、『終わるから迎えに来てくれ」ってね。フィリピンから借りて来たの』

ヘリにはフィリピンの国旗が描かれていた。

 『総一朗はこうなることが分かっていたんしょうかね?』

 『そうかもしれませんが、今になってはもう分かりません』

 『死人に口無しってやつだね』

 アリスは親指で乗るように指示した。

 『これ何処に行くんだ?』

 『日本。あなた達の帰るべき場所よ』

 『帰りましょうか、大斗さん』

 『そうだな、皆乗ってくれ』

 扉を開け、研介達は1人ずつヘリに乗った。

 扉を閉めた直後、ヘリは日本に向かって飛び始めた。

 『なあ、俺らやったんだよな』

 信太がヘリが飛び始めて、しばらくしてから言った。

 『俺らは、この事件の真相を突き止めて、根源を討てたんだよな』

 『ああ、そうだな』

 大斗は、嬉しそうに言い、信太は拳を握った。

 『やった…やったんだ!!』

 『ああ!成し遂げたぜ!』

 大斗は立ち上がり、信太とハイタッチをした。

 そこにいる全員が喜んでいた。

 ある者はレイランを倒した事に喜び、またある者は生きてフィリピンを出られた事を喜んでいた。

 『ところで、あなた達はこれからどうするの?』

 『そうだね、ダクソして寝ようかな』

 『まだ1日あるでしょう、やるべきことは沢山あるのよ』

 癒理はため息をついた。

 『そうね、やるべきことはある。まだ終わっていないわ』

 『終わっていない?一体、どうゆうこと?アリスお姉ちゃん』

 ジェイムズは操縦席に身を乗り出して言った。

 『WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)は今、多分混乱いる』

 『私達はこの事件の真相を解き明かしてしまった。そしてレイランを殺害。奴らは今、次期司令官の選別、私達の対処に追われる。ということでしょうか?』

 『ええ、そうよ』

 『と、いうことは…結構私達ヤバイんじゃ…ないですか?』

 舞は操縦席の座席を掴んでいるジェイムズを引き剥がした。

 『後に引けなくなってしまいましたか…アリス、どうすればいいんだ』

 『そうね…』

 アリスはしばらく考えた。

 『先に進むか、賭けに出るか、どちらがいい?』

 『一応聞いておく、先に進むとどうなる』

 大斗はしばらく考えて言った。

 『WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)が解散』

 『賭けに出ると…?』

 『私達は一生この事件について何も言えなくなるわ』

 『安全な方は…どちらかしら?』

 『完全に安全になるのは前者。だけど過程が危険よ。それより少し安全なのは後者。賭けよ』

 機械を弄りながら、アリスは言った。

 『賭けか…一体どうするんだ』

 『交渉するの。ゲームでよくあるでしょう。組織に喧嘩売ったけど、平和に暮らしてますってやつ。あれを作り出すの』

 『交渉って、どうするの?』

 『ゾンビが消えるまで後1日残っているわね』

 『ええ、残ってますが』

 『その1日で奴らが動かなければその後は大丈夫』

 『動けばどうするんですか?』

 『交渉するのよ。「こちらは事件の真相は言わないから、追わないでくれ」って』

 『それで、大丈夫…なの?』

 『大丈夫よ、なんとかなる』

 大斗は考えた後、言った。

 『仕方ない、他に案も出ない以上、それでいくか』

 そこにいた全員が頷いた。

 『とりあえず、日本に帰りましょうか』

 『そうね。それにしても、アリスの能力って龍一と同じような感じかしら?』

 『ああ、そういえば、能力があるって言っていましたね』

 『そうよ。龍一と同じような知識上げる能力』

 驚きはなかった。

 『何か、もう驚かねぇな』

 『仕方ないよ』

 その後はヘリの中で談笑していた。

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