49「最後の意地」

 そこにはレイランが居た。

 『おい、そこをどけ、相手は後でしてやる』

 しかし、レイランはどかなかった。

 『どうゆうことだ!?』

 だがレイランは黙っていた。

 『おい、一体何を考えてるんだ!?俺たちをどうしたいんだ!?』

 大斗はレイランの胸ぐらを掴み、部屋の壁に突き飛ばした。

 「大斗さん!?」

 研介はそんな大斗の体を揺さぶるが、大斗はそれを振りほどいた。

 「くっ…」

 「研介!」

 「皆さんは、先に進んで下さい…」

 「え、でも…」

 「早く!」

 「わ、分った、研介兄ちゃん達も早く」

 大斗とレイランを横目に、愛美達は甲板へと進んだ。

 そして愛美達が見えなくなると、研介は胸ぐらを掴まれているレイランを殴った。

 「研介!?」

 「大斗さん、冷静になって下さい。殺られます」

 「ああ…クソッ…」

 研介達はファイティングポーズをとった。

 そして、2人同時に殴り掛かった。

 『レイラン!覚悟!』

 拳は、レイランの顔に当たった。

 レイランはすぐさま体制を整えた。

 だが攻撃は出さない。

 研介が殴ると、レイランはその手を取り、捻り、顔面を膝蹴りした。

 「この野郎!」

 大斗がその後殴りかかるが、逆に突き飛ばされる。

 レイランは研介の横蹴りを抱えると、大内刈りのようにして投げた。

 だがそれを研介は巴投げのように流した。

 そして大斗が投げられているレイランの背中を力一杯殴った。

 立ち上がったレイランはナイフを取り出した。

 攻撃は仕掛けてこなかった。

 しかし研介はレイランに攻撃を仕掛けた。

 レイランが攻撃をかわしナイフを刺すが、研介は怯まずに何度も攻撃を繰り出した。

 大斗もそれにタイミングを合わせて攻撃していた。

 研介が殴ると、大斗は蹴り、レイランをのけぞらした。

 レイランが体制を戻したが、後ろから何かに掴まれた。

 研介、大斗ではなかった。

 総一朗だ。

 「レイラン!!」

 頭から血を流し、ナイフをレイランの首に突き刺した。

 だが、レイランもナイフを総一朗の脇腹に刺していた。

 2人は床に倒れた。

 「一体…何が起きたんだ…」

 「分かりませんが、ずっとこの時を待っていたんでしょう。総一朗は私達以上に追って来たんですよ」

 「なるほど、奴は最後の最後…いや、最後の後に報復を遂げたのか」

 「やったんですね、私達は」

 「いや、下に降りよう。まだあいつ等が終わっていない」

 研介と大斗は急いで下に降りた。

 研介は途中で別れた。

 「研介!?」

 窓のからまだ戦っているのが見えた。

 「大斗さん、私はここから行きます」

 「お、おい!?」

 研介はガラスを割り、下に落ちて行った。

 大斗は急いで下に降りていた。

 飛び降りる研介の下に、丁度敵がいた。

 敵は研介に気付き、その方を向いた。

 研介は蹴るが、敵はそれを避けた。

 しかし、そこにはジェイムズが居て、鋭く敵の頭を蹴った。

 敵はそのまま倒れた。

 「研介、皆、大丈夫か!?」

 大斗が降りてきた。

 「ええ、皆無事です」

 「無事じゃないぜ、腕殺られる所だったよ」

 「打撲が1名、後は特に無いわ」

 「それは良かった」

 「大斗さん達は大丈夫ですか?」

 「ああ」

 「皆、あれ」

 ジェイムズが何かを指差して言った。

 「ヘリ?WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)かな?」

 東の空から1台のヘリが来ているのが分った。

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