42「テラスデウツ」

 港が見えた。

 だが車が多く乗り捨てられており、ここから先は、研介達が乗っているワゴンバスでは進めそうにない。

 「降りよう。ここからは歩くぞ」

 研介たちは降りて、先へと進んだ。

 しばらく進むと、港に着いた。

 無線が研介に送られてきた。

 「ダリエル。お前か?」

 「そうだ。俺は今、港の船の様な形をした建物のテラスに居る」

 ダリエルはそう言うと無線をきった。

 「ダリエル!ダリエル!」

 無線はノイズを流していた。

 「船の様な建物?ジェイムズ、見えるかしら?」

 「あった、あそこ」

 ジェイムズは指を差しながら言った。

 研介達もしばらく進むとそれが見えた。

 「これだ」

 「そうだね」

 「ダリエルが何をしてくるか分かりません。気を付けて行きましょう」

 研介達は建物に入り、テラスへと進んだ。

 道中、ゾンビは少なく、楽に進めることができた。

 「動くな!ダリエル!」

 テラスに着いた。

 「遅かったじゃないか」

 「お前等、いや、お前か?目的は何だ!」

 「お前が言っていた『グリフォン』は軍の部隊じゃないか!」

 研介と信太はダリエルに銃を突きつけた。

 「そうだ。俺はグリフォンじゃない『World(ワールド)Manipulate(マニピュレイト)Party(パーティ)』の部隊であり、『NONE(ノーム) FACE(フェイス)』でもある」

 「どうゆうことでしょうか…」

 「来い、W(ワールド)M(マニピュレイト)P(パーティ)はこの世界をこの様にした組織だ」

 ヘリコプターの音が鳴った。

 「逃げないで!ダリエル!」

 愛美は言った。

 だが、ダリエルも困惑していた。

 ヘリコプターがホバリングしていた。

 「ダリエル!貴様の素性は分かっている!」

 「研介、あの男、どこかで見たことないか?」

 研介はそれを聞いてハッとした。

 「まさか、スーツの男か…」

 その男はスナイパーライフルを構えると、ダリエルを撃った。

 ダリエルはその場に倒れ、死んでしまった。

 「おい!?お前は誰だ!日本に居たな!」

 だが、男は何も言わずそのまま立ち去って行った。

 「皆さん、ダリエルの身体が…」

 ダリエルの身体は起き上がり、縦に2つに割れ、四足歩行になった。

 中からは口が付いているが、牙が剥き出しの肉塊が出てきた。

 「何これ…戦うの?」

 「来ます」

 そしてそれはこちらに気付くと、素速く走り出した。

 銃を撃つが、当たらない。

 「駄目だ!当たらない!」

 それは、そんな信太に飛び掛かった。

 「信太!」

 ジェイムズはそれの頭部にナイフを刺した。

 それは怯んだが、動きは鈍くなっていなかった。

 「研介!その背中に背負っているロケランを使え!」

 「分かりました!」

 研介はロケランに持ち構えた。

 弾数はまだあった。

 それは龍一に飛び掛かった。

 龍一はそれを義手を使い、うまく避けた。

 だが、龍一は義手と腕の間辺りを押さえた。

 「くっ!」

 「龍一、どうしたの!?」

 「まさか、腕に負担が掛かり過ぎたの!?」

 それは龍一にもう一度攻撃しようとした。

 血が吹き出した。

 研介の腕から。

 「離れろ!」

 龍一はそこを離れた。

 「来い!化物!」

 「研介さん!?」

 それは横に口を開き、勢い良く研介に向かった。

 研介はそれの口に、ロケランを突っ込み、すぐさま撃った。

 爆発。

 それは粉々になった。

 研介達は一息ついた。

 しかし、多くの爆発音と共にその建物は崩れた。

 幸い、下は海で、全員無事だった。

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