27「これはひどい」

 12階、階段。

 「これじゃないか?」

 大斗はそう言いながら研介に鍵を手渡した。

 「多分これですね、ありがとうございます」

 「何か手掛りとかありました?」

 「そうだなあ、男が左で告白してて、女が右にいたな。まあ、これがヒントになればいいな。」

 「それじゃ、持ち場に戻ろう」

 研介達は、23階に戻った。


 研介は防火扉を前に鍵を取り出した。

 「さて、どうするか」

 「左に男性、右に女性、これじゃないですか?」

 舞は左の鍵穴に男の鍵を、右に女の鍵を差し込んだ。

 鍵ははまり、ちゃんと回った。

 「お、あたりです」

 舞は扉を開けた。

 扉を開け少し進むと、同じような防火扉があった。

 「またこれか、今度も何か書かれてる」

 扉にはこう書かれていた。


  2人は子供を授かった。

  子供の身長は約7ポンドだった。


 「今さっきと同じようなら、7階ですね」

 「7階は、愛美と優理か」

 研介は愛美に無線を掛けた。

 「こちら研介です」

 「こちら愛美よ。どうかしたのかしら?体の50%ぐらいでも無くなったのかしら?」

 「その状況やばくないですか?それより、7階に特殊な鍵はありませんでしたか?」

 「鍵?どこの?」

 「多分、男性、女性、子供の絵が描かれているはずです」

 「それを探せと?無理よ。もっと何か情報は無いの?」

 「夫婦の間に子供が生まれたということだけです」

 「7階なのね?」

 「ええ」

 「分かったわ、それでしか先に進めないなら仕方ないわ。時間はかかりそうだけど、探してみるわ」

 「お願いします」

 研介は無線を切った。


 愛美は無線を胸ポケットに戻した。

 「鍵?無理でしょ、だってこの階だよ」

 7階には楽屋があった。

 愛美と優理は移動しながら話をしていた。

 「それより、女優の楽屋に行こうよ。ふひひ」

 「何を考えているか」

 「んじゃ、どうすんのさ」

 愛美と優理は休憩室に着いた。

 「ん?何これ」

 机の上に、1冊の雑誌が置いてあった。

 「どうしたのかしら……!?」

 「なにこれ?」

 雑誌の中はほとんどが赤で塗りつぶされていた。

 「ここだけ違う」

 そのページは俳優の紹介がされているページだった。

 「えーと、阿部中和、ビリィ・ビリントン、野獣後輩ね」

 「ロクな奴が居ない……。これヒントになるのかなあ?」

 優理は近くにあったお菓子を取って食べた。

 「そうね、雑誌があまりにもおかしいしそうかもしれないわね、楽屋があるのかしら?」

 「研介のヒントは意味なかったね。あ、これクッキースターっていうんだって、食べる?」

 「いらないわよ」

 「クッキー嫌い?」

 「嫌いじゃないけど好きじゃない」

 「分かってるじゃん」

 「何がよ。ほら、行くわよ」

 「はいはい。全く、愛美ちゃんは人使いが荒いんだから。ま、それもいいけど」

 「文句言わない。この変態」

 愛美と優理は3人の楽屋に行った。


 「ここね」

 愛美と優理は中和の楽屋に入った。

 机の上に子供の絵が描かれている鍵があった。

 同じようにビリィの楽屋には男の、TDMの楽屋には女の絵が描かれている鍵があった。

 「全部集まったわね、研介と舞に渡しましょう」

 舞は研介に無線を掛けた。

 「こちら優理」

 「こちら研介、鍵見つけたか?」

 「うん。それじゃあそっちに」

 「取りに来なさい」

 「だそうです」

 「分かりました」

 優理は無線を切った。


 しばらくして、研介と舞は7階に着いた。

 「これ?」

 優理は舞に鍵を手渡した。

 「それです、よく見つけましたね」

 「何かヒントとかありました?」

 「何も無かったわ」

 「分かりました、私たちは上に戻ります」

 研介と舞は階段を上がって行った。

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