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- ★★★ Excellent!!!「ありふれた風景」を更新するジュブナイル・ファンタジー
国道沿い。チェーン店舗の順列・組み合わせが微妙に違うだけの、いつかどこかでも見たような均質化した街並み・・・。2018年映画化された山内マリコの小説が「ここは退屈」とバッサリ切り捨てた没個性的な郊外の風景は、しかし本当にそれだけのものだろうか? そんな固定観念を、『ロードサイド・ウォリアーと土曜の夜の獣たち』は二つの手段で覆そうとしている。
一つ目に、ファンタジーを物語ることによって。「王さま」と呼ばれる異能を持った登場人物たちは、あらゆる時空間上の屋上や国道、チェーン店を自由に移動することができる。そうして現実から解き放たれた都市空間は機能を大きく変え、「王さま」たちに特別な試練を与える…続きを読む - ★★★ Excellent!!!知られざるワンダーランドを、王が駆ける
現時点で最新の第二話までの感想。
作品全体の物語はまだまだこれからで、というかフォーマット的にいくらでも続けられそう。況や最終的な着地がどうなるかは全くの未知数。それでも本作が指向するところは(あくまで自分の中で)見えてきた気がする。
様々な「場所」を支配する「王さま」達が繰り広げる時空を越えた陣取り合戦。その「場所」とは国道であったり屋上であったりショッピングモールであったりと、つまりは現代を象徴する無機質でオルタナティヴな空間。大量消費と画一化の産物。
しかし人がそこを利用し暮らしの寄る辺とする限り、どんなに無味乾燥とした場所であろうと意味が生まれ、風土が、文化が形成され、そして…続きを読む