概要
この世の不思議を記録する、アヤカシ記者なのである。
ある日、裏島のもとに一件の取材依頼が舞い込んだ。
なんでも死んだ大旦那に化けた化猫が夜な夜な徘徊しているらしい。
依頼を受けた裏島は、助手の女学生、薮内あおいとともに猫塚家へと赴くことになる。
そこで待っていたのは、スチームロイドを探す憲兵、厳格な若旦那にその妻、そして軟派な若旦那の弟だった。
その夜、雷鳴とともに事件は起きる。
果たして化猫騒動の真相はいかに。
続編はじめました。
「アヤカシ記者、七変化ノ香ニ酔フ。」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883283179
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!加速度的に発展する人間社会と、語られるべきアヤカシのユーモラスな生態と
ビルヂングの3階に事務所を構える新聞記者、裏島。
彼のもとに集まる面々は、人間あり、アヤカシあり。
何を隠そう、裏島はアヤカシ記事専門の記者なのだ。
電気ではなく蒸気機関が発展した、大正25年の東京。
魅力に満ちた人間とアヤカシが各々の不安をかかえ、
裏島の事務所へと、謎解きの相談を持ち込んでくる。
主要な視点人物である女学生のあおいを筆頭として、
奇妙な美青年の一助、私服センスゼロな憲兵の犬村、
といった個性的な彼らは、謎めく何かを持っている。
短編連作の形式で展開される、軽快なアヤカシ活劇。
癖が強く且つ愛嬌のあるキャラクターが皆ステキで、
ページを繰る手が止まらなかった。おもしろ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!まるですぐ隣で呼吸をしているような
随分前に一気に読み終えていたのに報告が遅れましたが、とても面白かったです……!
主人公であるあおいちゃんはもちろん、どの登場人物たちも立っていて、誰一人埋もれてしまうことはなく。それぞれの人たちの思い、考え、そういったものが生き生きと伝わってきました。
アヤカシたちも個性的で、それぞれに愛おしい点があり、時折切なさも感じるなどして……。
描写が巧みで、自分も皆と一緒に蒸気都市を歩き回っているかのような気分になりました。わくわくしながら、次はどうなるのだろう? と読み進めているうちに、あっという間に終わっていました……。素晴らしい、その一言に尽きると思います!
個人的にはシュテンちゃ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!大正二十五年、帝都に漂うは蒸気と煙、そしてアヤカシの気配。
身長が高くものぐさでも面倒見のよい記者、裏島正雄。
彼の事務所に入り浸る、よく言えば快活、悪く言えば計算高い押しかけ助手の女学生薮内あおい。作中の語り部として主だって彼女の視点で話は進みます。
二人のところに飛び込んでくる依頼はアヤカシ絡み。
来歴の旧い猫又や雷獣など、和モノになじみがない方も見覚えがあるはず。
舞台は電機ではなく蒸気機関が発達した大正二十五年の帝都。
レトロフューチャーの代名詞ともいえるスチームパンクとアヤカシの混交によって懐かしくも新しい独自世界を構築しています。
裏島と憲兵犬村。それに手伝いの酒口一助。妖しい美少女シュテンとの掛け合いも楽しいレトロモダン…続きを読む - ★★★ Excellent!!!語り継ぎましょう、彼らが消えないために
時は蒸気文明の発展した大正。アヤカシ達が人間社会でひっそりと暮らしている。
文明の発展と共に人々はアヤカシの存在をゆっくりと現実から切り離して行く。
そんな中で、アヤカシ達との関係を密にする者達も存在する。
アヤカシ記者と名乗る新聞記者、彼の助手の書生、女学生。さらに憲兵の青年。
彼らの周りで起こるアヤカシがらみの騒動は、時にはほのぼのと、時には深刻に、物語に引き込んでくれます。ミステリーにカテゴライズされてもいいほどに、謎がちりばめられた事件に心踊らされます。
しっかりと練られた世界観と、作者の愛をたっぷりと注がれた登場人物(アヤカシ)達が、読みやすい文章でつづられていて、…続きを読む