語り継ぎましょう、彼らが消えないために

 時は蒸気文明の発展した大正。アヤカシ達が人間社会でひっそりと暮らしている。
 文明の発展と共に人々はアヤカシの存在をゆっくりと現実から切り離して行く。

 そんな中で、アヤカシ達との関係を密にする者達も存在する。
 アヤカシ記者と名乗る新聞記者、彼の助手の書生、女学生。さらに憲兵の青年。
 彼らの周りで起こるアヤカシがらみの騒動は、時にはほのぼのと、時には深刻に、物語に引き込んでくれます。ミステリーにカテゴライズされてもいいほどに、謎がちりばめられた事件に心踊らされます。

 しっかりと練られた世界観と、作者の愛をたっぷりと注がれた登場人物(アヤカシ)達が、読みやすい文章でつづられていて、ついつい時を忘れて読みふけりました。
 ぜひ、彼らの物語を読んでいただきたい。
 存在を忘れられると消えてしまうアヤカシ達が、消えてしまわないように。

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