村乃枯草

その人は示します 世界が調和する姿を 美しいものを 言葉を編んで 書き手は自分に必要なものを作れます 世界にはそうでないものも多いですから 待つだけでなく 自分で自分にとっての…続きを読む

題名を読むとムフフな展開を期待します。 お読みいただけませんか。いい意味で期待を裏切られます。 主人公も周辺人物も、過去から背負うもの、現在の心情、未来に向けた行動が実に丁寧に…続きを読む

作者自身がキャッチコピーで「この”読み難さ”についてこれるだろうか・・・」と語る本作。良否は文体の選択が適切だったか否かに依ります。 本作はテキストのパッチワーク。作中の人物によ…続きを読む

作者様は解説に書いていませんが、本作の主題は、ズバリ、心の殻。 戦車には装甲があります。というか、一方的に砲弾を撃ち込んで自分は守られる立場に居続けるために作られたのが戦車ですか…続きを読む

本作を読み始めると、まず語り口に感嘆します。本格的時代小説の語りを読めば、カクヨムでは数少ない作品を読めると喜びます。 落語などには「人情噺」があります。人の心の機微を語ります。…続きを読む

本作の主題は、過去の自分に手紙を送るならどうするか。作品は、その手紙そのもの。解説は一切無し。 その手紙は希望に満ちています。読んでいて、送り主の前向きな姿勢に力をもらえます。 …続きを読む

キャッチコピーは「何でみんな並んでいるの？」。 列に並ぶのは争いを避けるため。争えば抜け駆けできるものを自分から従うことを決めた結果です。 しかし本作を読み進めると、読者は自分…続きを読む

本作は短編です。短い時間で読み終わります。 でも読み終えて気付くのです。この語りの背後に潜む、長い時間の物語に。 それは決して偶然ではなく、全てが計算されて結末へとたどり着きま…続きを読む

ネタバレは出来ませんが、主人公は過ちを犯します。 過ちの後、関わった二人の選択に正解はありません。彼らにも分かりません。読者もそれぞれ思うでしょう。 後には正解のない場所でもが…続きを読む

この小説はBL。ある性嗜好が主題です。尺は短く、その世界の入り口を語ります。 自分と違う性嗜好の人は、触れないで別の場所で暮らしていれば平気なのか、話が聞こえてくるだけで迷惑なの…続きを読む

題名が仄めかすように、題材は単純に面白いものではありません。 作中で描かれるものは色々ありますが、作者様は対象の正体が何なのかを正確に捉えていて、読者が納得する形で提示します。 …続きを読む

評者は本作を読み終えた後で、題名「恋情と呼ぶには…」に続く言葉に何を選ぶか、少しよくない意味で考え込みました。 キャッチコピーは人間とAIの恋。しかし読み終えて思います。あの感情…続きを読む

主人公の女の子はあることに気付きます。幼馴染みが自分にだけ敬語を使ってくる…… あーあ、気付いちゃった。 今まで当たり前だと思ったものが当たり前でないと気付くと、今までに無かっ…続きを読む

本作のタグには「コメディ」。たしかにコメディです。でも話はどこか物悲しくて。 誰かに起きた大変なことを、泣いたら悲劇、笑えば喜劇。悲劇と喜劇は表裏一体。 悲しいことを語り口で笑…続きを読む

本作はミステリー小説。そうなれば理知的な展開を期待しますが、本作の基調をなすのは主人公二人の掛け合い。 剛毅で行動力があり頭が切れる花子と、惰弱で要領が悪いものの一つだけ特技があ…続きを読む

人の心は缶のよう。開けてみるまで分かりません。他人の缶は開けなくても生きていけます。開けたときに何が起こるか、その時になるまで分かりません。 それは偶然でした。しかし主人公は偶然…続きを読む

この物語は、現実社会で考えると極めておかしいのです。本作で示された内容を他人に語ることは憚られます。ですから語った言葉が残ることが現実社会では稀です。 しかし、小説は踏み込めます…続きを読む

新しくやってきた子には秘密があります。そのことは題名で明かされます。 題名で明かされないのは、登場人物が子どもであるが故の前向きな姿勢です。大人だったらもっと騒いでいます。無垢な…続きを読む

人の気も知らないで。人はしばしばそう言います。 他人の心は見えません。でも見えないからと言って存在しない訳ではありません。 他人からは見えないもののつらさがひしひし迫ってきます…続きを読む

題名にある「犯行動機」は本文を読み進めていくと明確に分かります。全く合理的で一分の揺らぎもありません。 全く合理的に理不尽が積み上がっていきます。生きるって理屈じゃない。そのこと…続きを読む

題名を見ると思うかもしれません。何か悪いことがあったの？と。 ネタバレは出来ませんが、この小説はきちんと着地します。世界の優しさを感じられる方向に。 安心してお読みください。で…続きを読む

読み始めたら思います。普通に生きていたら、まず、こうはならない、と。 小説の結論はきちんとあります。しかし、物語が始まるまでの経緯が凄まじすぎて、読者の頭は結論どころではありませ…続きを読む

芸術家の物語と言えば、あれよあれよと売れていくシンデレラストーリーか、辛酸を嘗め尽くした後で世に出る苦労自慢か。 本作はその間を行きます。 きちんと形になるまで続けるには何が必…続きを読む

評者は本作を、ひっそり隠れているものを描いた物語だと読みました。 本編を読み始めると、上の言葉が皮肉に聞こえることでしょう。理由は明かしませんが。 しかし全てを経た男にはきちん…続きを読む

本編はとても短く、人が「また明日」と声を掛け合うだけとまとめて過言ではありません。 この「また明日」と声をかけることに、人がどれだけの意味を重ねているか、背景にどれだけの想いを抱…続きを読む

夜明け前が一番暗い。苦しんでいる人に、一番苦しいときの後は明るいと励ます言葉です。 しかし、この助言には欠点があります。本当に今が一番暗いのか、もっと暗くなるのではないか、今この…続きを読む

キャッチコピーに「不純な動機」とあるように、何かを始めるには邪念が多いところから始まります。 でも、その女の子は踏み出しました。踏み出さない臆病者とは違います。 始めてみると予…続きを読む

内容はタイトルを見れば分かりますよね？ 八尺様。とても大柄な女性の姿をしており、年下の男の子が大好き。ちなみに出自を調べると近年創作されたらしく、古来からの伝承につきものである古…続きを読む

昔は女の子と見間違えそうだった子が、再会してみたら極上の美少年に。これだけで美味しいです。 しかも相手は人間でなく吸血鬼。と言っても日光に当たると命を落とすといった制限がない現代…続きを読む

貴方は絶望したことがありますか？ 絶望したとき、何が隣にあればいいのか。作者はその答えを明確に示します。 評者は本作を読んで涙が止まりません。お前は甘い。そんな性根だから実社会…続きを読む

本作の主題は恋。しかし劇的ではありません。 十代の恋は青く、二十代の恋は打算的。その二つが混じり合う年齢に主人公を置き、どちらか片方に染まらない細やかな心象描写を連ねます。 淡…続きを読む

タグには「SF」。題名には「宇宙船」。科学そのもの。 しかし宇宙というものは夢を抱かないと行くまでの試練を乗り越えられません。宇宙飛行士に仕事だからと淡々と語る人はいませんよね？…続きを読む

評者が本作の見所として推すのは、騙しと心理描写の二点。 騙しは綺麗に決まります。終わってから、そうだったのかと納得します。 しかし心理描写が話を複雑にします。綺麗に決まって爽快…続きを読む

遊園地に良くない噂が立っているアトラクションが残っていることがあります。でも盛況でないものの客がいるように見えます。 良くない噂を知って乗る気分はどんなものでしょう。分かっている…続きを読む

本作の概要を読むと、現代日本女性・美也子にしてみれば「やっちまった」事案。ちょっとした出来心でした。まさかそんなことになるとは思ってもみませんでした。そう弁解しても、お決まりの文句…続きを読む

人間、誰しもスーパーマンではありません。それぞれの人にとって出来ないことがあります。普通のことです。 と簡単に「普通」と書いたのですが、もし自分が「普通」のことが出来ないと知った…続きを読む

『広島』でなく『ヒロシマ』と書けば、それは歴史的事件の現場。その事件をいかに伝えるでしょうか。散々言及される『風化』を避ける形で。 本作は現在の広島で『ヒロシマ』がいかに伝えられ…続きを読む

このレビューは文化的に過激な内容を含みます。周囲を攪乱することの責は全てレビューアーにあり作品の作者様には一切問題ございません。レビューの削除や運営からの処罰などに、レビューアーは…続きを読む

概要より引用いたします。 > 日本の古今の記録を収めた『本』として庇護される娘 果たして、そのような娘が居るのか。 その心配は杞憂です。筆者は圧倒的な筆致で『本』でもある娘を…続きを読む

子どもはサンタを見たとはしゃぎます。しかし大人から見れば…… この小説の主題は「訳」。大人の不可解な行動にはちゃんと訳があって、内実を知ると悲喜交々を感じるのです。 大人はいろ…続きを読む

ネタバレする訳にはいきません。ですから結末に触れてはいけないのですが…… どうなるのかとやきもきしながら読み進めると、最後に明確なオチがつきます。伏線の回収漏れは無し。 納得で…続きを読む

これは、いろんな物が、人が、集まる話。 その中心には、どこかとぼけたお方が。集まってくる物を、穏やかに、暖かく、迎えます。 私は呼ばれました。貴方も呼ばれませんか？　暖かい気持…続きを読む

冒頭が、高校の学園祭で模擬結婚式で、実は裏に策略があって、当人に自覚がないのに花婿役って、何これ？？？？？ と、初手から読者を混乱にたたき込む本作。もういいや……と思われるかもし…続きを読む

妖怪ぬらりひょんが女性化して嫁に来る。それってまるでおとぎ話。 しかし短い尺の中に意外な捻りがあります。どのような捻りなのかは、読んでのお楽しみ。 それでも、なのです。実の話が…続きを読む

Jazz ではありませんが、表題の言葉が似合います。 登場人物は少なく、台詞のほとんどは、ある二人のもの。 この二人の、台詞が、挙動が、生き様が、カッコいいったらありゃしません…続きを読む

ちぎり

千切るのか。契るのか。

自分を解いていけば自分というものは居なくなるはずなのに、どうして今存在できるのか。その理由を知ったとき心が凍ります。

本作のテーマは、題名通り、バブル。 現実のバブルは多くの人を天国から奈落に突き落としました。命を落とした、あるいは捨てた人も大勢いました。 本作の舞台は学校です。学校で現実のバ…続きを読む

人との出会いは、その時が来るまで分かりません。 せっかくいい人に会えたのに、こんなことって……　泣きそう……　他人から見て笑えますが。 袖振り合うも多生の縁と申します。定めなら…続きを読む

いつの時代も、人は他人の裏、それも汚いものを見たいもの。人の不幸は蜜の味、という言葉もありますし。 占い。すがる側は必死。でも占い師は現実世界に未来を見る方法なんてないと知って商…続きを読む

この小説を、戯れ、と称するのは作者様に失礼だと実感しています。しかし、その言葉が適切だと信じるのです。 本作は、先鋭的な設定が特徴ですが、私はあえて人の心理を見たいです。 歴史…続きを読む