村乃枯草

いきなり尋問の如く始めましたが、評者が『読め！』と迫る理由は次の二点です。 １．1,878文字なのでレビューより短いです。だから読め！ ２．創作でなく現実なので今後の生活のために…続きを読む

ある人の秘密を知ったところから始まる物語は定番です。そして当たり前なので忘れられがちなことがあります。 主人公には「秘密を知る」という秘密が出来てしまいます。 はい、秘密を持つ共…続きを読む

「見られている」。得体の知れないものの視線を感じれば、怖いですよね。 「見られている」。親密な人の視線を感じれば、優しさを受け取りますよね。 「見られている」。そして、今のあな…続きを読む

「騙されたと思って」という常套句は当たり外れが大きいですが、評者はその言葉で皆様にお勧めします。 男性、特にオタク男性の夢が短い中に詰まっています。 特筆すべきは、本作が音声化…続きを読む

本論考は、なろう系が流行る理由について細かな手つきで明かします。その筋の良さは他のレビューアーの皆様が言及するとおりです。 ここでは、わがままに、本論からずれたところを述べさせて…続きを読む

まずレビューとしては好ましくない指摘から始めさせてください。本作の作者は他作品にて文体や構成など、文意・物語だけでない、伝え方そのものを変調させる実験を行ってきました。ですが本作は…続きを読む

事実は小説よりも奇なり、と申します。 ここに集められたのは、作者によると、実話とのこと。その内容は…… 未遂、と銘打たれているように、はっきりと心霊事件として結末がつくのでなく…続きを読む

カクヨム運命から出されたお題は「色」。多くの書き手が多様な解釈に挑みましたが…… 本作で作者が選んだのは般若心経における「色」。それは、この世の全て。「色即是空」の四文字は広く知…続きを読む

知らない方が幸せなこともあります。まぁ良かったんじゃないでしょうか。 でも読者は知ってしまいます。真実より泥臭い現実を。 で、現実の方が納得するんです。これで良かったなと。 …続きを読む

本作を読み終えて、これに星をつけていいものかと思いました。明言しますが、評者は主人公の心情に共感できません。 でも考え直しました。共感できない人間を克明に描くのも小説だと。 共…続きを読む

真実って何？ 新聞に書いてあることでも ネットニュースに書いてあることでも SNSに公開する投稿でも 二人きりの打ち明け話でも 触れない 言ってはいけない でも　言わないと生け…続きを読む

本作で明かされる間違いは、皆がよくやらかすもので、自分もそうだと納得します。 ですが、このレビューをお読みの貴方は、失敗を自ら明かすことをお出来になりますか？ 恥ずかしいことを…続きを読む

本作は大きな事件が起こりません。小さな、ほんの小さな、他愛ないことが起こるだけです。 でも「分かる」んですよ。異能者だって人間だから他愛ないこともあるって。 ただ、解決策が普通…続きを読む

誰の手をとりますか？　誰に運命を委ねますか？　手を繋いだそれは死神ではないですか？ これ以上は申しません。本作をお読みになるのが早いです。暖かい気持ちになると同時に、痛いほど分か…続きを読む

未成年だと経験がないと思いますが、大人になって一人で飲食店に入り、酒が入ったりすると、その場で見かけただけの相席の客と話が盛り上がることがあります。まあ、うまくいったりいかなかった…続きを読む

KAC20243のお題は「箱」。多くの作家が挑みましたが、評者の偏見で申せば、おどろおどろしい展開でまとめた作品が多いように思います。 ですからハートフルな展開は、実は本コンテス…続きを読む

この小説には、構成がこれで合っているのか、悩むところもあります。長い物語の序盤として見ると違和感がないという気もします。ですが、本作としての締めはありますから、この長さの物語として…続きを読む

本作の題名は主人公の主張そのまま。「なのに」と言いたいことがお有りのようです。 ですが、言わせていただけると、主人公の言動を読んだ人からすると至極納得する結末なんです。 通常の…続きを読む

ギャルゲー。一人の少年が複数人の美少女と並行して会い続け、誰が一人、あるいは複数人と愛を遂げるゲーム。プレイヤーに見えているのは少年から見た世界。 主人公のために用意された美少女…続きを読む

KAC20243で提示されたお題は「箱」。 箱ばかり綺麗なものを選んで……と毒づいていると、次第に明かされる現実。人は馬鹿ではありません。中身に適した容れ物を選ぶものです。すると…続きを読む

本作を読み始めると登場人物が常識を持たないことに少々面食います。途中で理由が明かされますが、よくよく考えると…… 常識がないのは何故か。誰に常識がないのか。その人物に常識がない理…続きを読む

題名が全てを伝える、つまり「出落ち」で始まる本作ですが、読み始めてみると…… これは意外と。いや、問題大ありなのですが、意外とアリかも…… 難ありでも拒否したいほどでもない絶妙…続きを読む

いつもとは違う三分間とは何か。 本作が提示するのも特別な三分間。 そして、主人公が勇気を振り絞ってリスクが高い行動に出ます。この後どうなっちゃうの!?　手に汗を握ります。最後ま…続きを読む

どこかで見たような、と言えば、多くはありきたりな話です。 本作は、掌篇であるにも関わらず、作品内の要素だけで、どこかで見たものを再び見たときの感情を与えます。繋がって繋がって、そ…続きを読む

この掌篇を読み終えると涙もろくなります。

そこには嬉し涙と悲しい涙が入り混じっていて。

そんなことあるのか？

あるんです。それが本作の妙です。
技ありの一作です。

知る人ぞ知る、つまり鉄道ファンが盛り上がる話題ですが、国鉄時代に設計製造された特急型電車が通常営業で使用される最後の特急「やくも」(岡山←→出雲市）が新型車両に交代されることとなり…続きを読む

本編を読み始めると先が読めると思うかもしれませんが、最後に辛口で締めるので見逃しませんように。 本作はKAC2024 第1回お題「書き出しが『○○には三分以内にやらなければならな…続きを読む

恋愛は美しく、数多の小説が書かれました。 なのですが、現実の恋愛はむしろ痛い話が多くて恥ずかしいものなのですよね。だからこそ美しい部分だけ取り出した小説が喜ばれる訳で。 これは…続きを読む

本作は、黒歴史と銘打たれているのですが、とても明るいのです。疑いなく楽しそうで。 でも、日向にはすうっと長い影が伸びていました。それに気づいたときの寒さと言ったら。 知らぬが仏…続きを読む

小説を書く人はアマもプロも問わず一人称と三人称の長所と短所を議論します。 そんな中、極めて少数ですが、二人称、と称される文体で書かれた作品が存在します。読者はずっと「あなたは………続きを読む

中華国家の中枢、後宮を舞台とした傑作小説が次々発表され、テレビアニメが世を席巻する2023年に、これです…… 時代考証や王朝の絢爛さなどをはね返す、ギャルのパワーが全てを破壊した…続きを読む

戦国時代、山城で合戦があり殺戮が繰り広げられました。21世紀の今、山城の跡地は公園になり皆の憩いの場になっています。めでたしめでたし。 え？ そんな幽霊が出そうな場所でみんなが遊…続きを読む

ペットは人間の所有物。テレビで散々「最後まで面倒を見ましょう」と呼びかけても、捨てられるペットがたくさんいます。それが現実です。 振り回されるペットの生活は運任せ。主体性を失うと…続きを読む

本作は猫を題材としていますが、焦点は著者自身の心。 著者は猫と犬が嫌いです。経緯は本編をお読み願います。周囲に広く言っていませんが、そう自認していました。 しかし、です。もうそ…続きを読む

本作は、鬼の黄平が鬼の住む山里を追放されるところから始まります。 山の主である白い大蛇から山を救うためにと依頼されますが、黄平が応えたのは山を救うためだったのか。 読めば読むほ…続きを読む

本作では主人公の左手だけが旅をすると言います。あまりに非日常的で、かつ、特定の心情と結びついているように見えません。 どんな物語も選べそうな設定に作者が選んだ物語は優しいものでし…続きを読む

あえて作中に出なかった言葉を用いて評します。 「素直」という言葉は、よく間違われますが、自分に正直という意味で思う通りに動くのではなく、世の中の道理に従うという意味が強いです。で…続きを読む

それぞれの人は上手くいかないことがあります。忘れがちですが必ずあります。取り返す努力も上手くいかなくて、無力さにほぞを噛みます。 人がそれを忘れる理由の一つは、他人に見せないから…続きを読む

その人は示します 世界が調和する姿を 美しいものを 言葉を編んで 書き手は自分に必要なものを作れます 世界にはそうでないものも多いですから 待つだけでなく 自分で自分にとっての…続きを読む

題名を読むとムフフな展開を期待します。 お読みいただけませんか。いい意味で期待を裏切られます。 主人公も周辺人物も、過去から背負うもの、現在の心情、未来に向けた行動が実に丁寧に…続きを読む

作者自身がキャッチコピーで「この”読み難さ”についてこれるだろうか・・・」と語る本作。良否は文体の選択が適切だったか否かに依ります。 本作はテキストのパッチワーク。作中の人物によ…続きを読む

作者様は解説に書いていませんが、本作の主題は、ズバリ、心の殻。 戦車には装甲があります。というか、一方的に砲弾を撃ち込んで自分は守られる立場に居続けるために作られたのが戦車ですか…続きを読む

本作を読み始めると、まず語り口に感嘆します。本格的時代小説の語りを読めば、カクヨムでは数少ない作品を読めると喜びます。 落語などには「人情噺」があります。人の心の機微を語ります。…続きを読む

本作の主題は、過去の自分に手紙を送るならどうするか。作品は、その手紙そのもの。解説は一切無し。 その手紙は希望に満ちています。読んでいて、送り主の前向きな姿勢に力をもらえます。 …続きを読む

キャッチコピーは「何でみんな並んでいるの？」。 列に並ぶのは争いを避けるため。争えば抜け駆けできるものを自分から従うことを決めた結果です。 しかし本作を読み進めると、読者は自分…続きを読む

本作は短編です。短い時間で読み終わります。 でも読み終えて気付くのです。この語りの背後に潜む、長い時間の物語に。 それは決して偶然ではなく、全てが計算されて結末へとたどり着きま…続きを読む

ネタバレは出来ませんが、主人公は過ちを犯します。 過ちの後、関わった二人の選択に正解はありません。彼らにも分かりません。読者もそれぞれ思うでしょう。 後には正解のない場所でもが…続きを読む

この小説はBL。ある性嗜好が主題です。尺は短く、その世界の入り口を語ります。 自分と違う性嗜好の人は、触れないで別の場所で暮らしていれば平気なのか、話が聞こえてくるだけで迷惑なの…続きを読む

題名が仄めかすように、題材は単純に面白いものではありません。 作中で描かれるものは色々ありますが、作者様は対象の正体が何なのかを正確に捉えていて、読者が納得する形で提示します。 …続きを読む

評者は本作を読み終えた後で、題名「恋情と呼ぶには…」に続く言葉に何を選ぶか、少しよくない意味で考え込みました。 キャッチコピーは人間とAIの恋。しかし読み終えて思います。あの感情…続きを読む