元勇者の主人公は、「皆の望む死を与えてくれ」と神に願うが、その結果主人公は若返りショタになってしまう。そしてメイドとの生活が始まり……。
と、どう考えてもいかがわしい妄想をしてしまいそうなあらすじのこの作品。しかし、本文を読み進めていくと、とても重厚な世界観があらわになっていきます。ちょっとエッなシーンはもちろんあり、僕に響くというわけではないのですが、徹底された丁寧な文体を通すことで、めちゃくちゃ色気が伝わってきます。
国や軍隊の動きなども徹底して描かれており、作者に「エロいだけではないぞ!」と言われている気分でした笑。ミステリー要素もあって面白いです!
題名を読むとムフフな展開を期待します。
お読みいただけませんか。いい意味で期待を裏切られます。
主人公も周辺人物も、過去から背負うもの、現在の心情、未来に向けた行動が実に丁寧に描写されます。戦闘シーンは読者にアドレナリンを放出させる緊迫感溢れるもの。背景となる設定も厚みがあり堅牢。ドラマが実に丁寧に綴られます。
かといってお色気シーンも手抜きなし。カクヨム様でこれを読んでいいのでしょうか、いい意味で。
ドラマも色気も、読者がワクワクするものを整理した上でありったけ詰め込んだ、エンタメの手本です。
何の気なしに読み始めればいいです。きっちり時間の元が取れます。
人類に仇成す魔王を封印した勇者を誰しもが讃える。だが勇者であることは見た目の煌びやかさとは違い魔をだけでなく、本来味方であるはずの人も始末する。
希望の象徴であり続けるために闇を抱える矛盾からの葛藤。手放したくても血に染まった手から離れない刀、そして他の生き方を知らない勇者は自らの死を神に望む。
なかなか業の深い出だしから始まる物語は、死を望んだはずの勇者が少年に戻され困惑すること、そんな主人公に派遣された専属メイド、主人公の職場に派遣された新人の女性。謎と程よくエロスが混ざり進んで行きます。
かつては勇者と呼ばれた主人公も少年になってしまい、背丈も筋力も失い弱体化してますが経験はある。見た目の幼さと違い大人な思考、女性の色気に困惑しながらも理性的に対応する辺り好感が持てます。
まだまだ物語は始まったばかりで、進むにつれ謎は深く広がりを見せます。元勇者であるタツミヤ セツナ、そして周囲の人たちがたどり着く結末がどのようなものになるのか非常に楽しみな作品です。