本作を読み始めると、まず語り口に感嘆します。本格的時代小説の語りを読めば、カクヨムでは数少ない作品を読めると喜びます。落語などには「人情噺」があります。人の心の機微を語ります。これは……人の心の話なのですが、タグにある通り主人公がクズなんですよ。それで、どうなる?その心根だとそうなる。そのことが何の疑問もなく納得できます。人情だけでない、人の心の裏まで切れ味よく語ります。語りは粋。語るのは人の裏表。満足、満足。
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