海のシンバル

作者 久々原仁介

218

73人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

顔を見せるわけでもなく、声を交わすわけでもなく、ただ気送管で言葉を送り合うRと受付さん。
そんな特異な関係の上で、Rの計り知れない苦しみと興味を注がれていく受付さんが一体どんな気持ちで受付の椅子に座っていたのか。
そのひとつひとつが美しく書かれていて、
読みごたえのある、美しいくて苦しい純文学でした。

★★★ Excellent!!!

彼女ほどの凄惨な過去があるわけではないけれど、自傷行為として男性と関係を持っていた私はRのほうに感情移入してしまいました。
それを否定せず、ただ聞いてくれる。なんとも言えない距離感が心をふわふわさせてくれます。
過去のシーンには胸が痛くなり、涙が止まりませんでした。

少しの匙加減で下品にもなり不謹慎にもなる繊細で難しいテーマを敢えて扱い、見事に書き上げた作者さんには脱帽です。 
素晴らしい作品、ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

言葉では言い表せないほど、胸を打たれました。

青年磯辺とRの心の機微が、ふとした仕草や何気ない描写から伝わってきて、どうしようもなく心が震えます。

テーマは決して易しいものではないですが、あの日を知っている方にも知らない方にも、ぜひ読んでいただきたいです。

シュルシュル〜
(↑ 何だこれ、と気になった方もぜひ!)

★★★ Excellent!!!

ファッションホテル『ピシナム』。それが、主人公の職場だった。
今では閉店し、見る影もない。
しかしある日、主人公を取材したいという女性が現れた。

彼女との会話をきっかけに、彼の心はあの頃へと戻っていく。

『R』と勝手に呼んでいた、名も知らない少女との声を使わない交流の日々に。

何処か寂しげな一人ぼっちの少女と、ホテルの受付である主人公。
二人を繋ぐものは、客とホテルマンという間柄だけ。

描かれるのは、自分に自信が無く浮遊する青年と、心をある場所に残してきた少女の交流。その切なさに、胸が締め付けられる思いです。

本当に理解することは不可能で、それでも知りもしないではいられない。
『海のシンバル』。そのタイトルの理由がわかる時、あなたは何を思うのでしょうか。

★★★ Excellent!!!

ご縁があり、この物語に出会いました。読み終えましたので、レビューさせていただきます。

本作は海沿いの街にひっそりと佇んでいたファッションホテル『ピシナム』で働いていた青年が、かつて働いていた時に出会った少女との出来事を思い返すところから始まります。その後に繰り広げられるのは、顔も合わせないままに行われる手紙のやり取り。二人はその中で、恐る恐る互いへと踏み込んでいきます。

青年の彼に内包された苦悩や不器用さ。少女の秘密と、ある出来事によってその内側に宿ってしまった、強烈な孤独。それらが圧倒的な表現力によって書き表されており、気がつくと読み終えておりました。没頭してしまったこの感じは、まるで海に引き摺り込まれてしまったかのような気分です。
ラストの展開は怒涛ながらも、「何か」があったという余韻に浸れるような。もちろん言葉にすることもできるのでしょうが、それは是非、読んでみて、そして感じていただきたいものです。

他の皆さまも是非読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

第一話の饒舌な、現実味のない、ふわふわした美しい文章に引き込まれて読み始めました。
ストーリーには触れません。でもこれは大なり小なり、誰もが抱きしめている物語なのかなと思いました。
第一話と最終話の主人公の描写の対比がみごとで、技巧深い作品でした。

★★★ Excellent!!!

本当に素晴らしい作品だと思います。
「これが、小説か。」は感嘆の意味で付けさせていただきました。
舞台がラブホテルというセンシティブな場所なのにもかかわらず、繊細な文章力で、非常に透明感のある世界観を醸し出しています。
そして、深い。非常に奥深いです。
登場人物のキャラクターがしっかりと定着していて
特に主人公とヒロインの掛け合いが、意味深すぎる。
思わず鳥肌が立ちました。
これからも読ませていただきます。宜しくお願いします。