静かな激痛

最後まで読み切ったときに、私の胸に残ったものは、音もなく、出血もしない、静かな激痛でした。
私自身も磯部と同じく、当時あの震災の時には全く被害を受けていなくて、どこまでも対岸の火事でしかなかった人間のひとりです。
読み切ったあと、しばらく声が出なかった。なんと言えばいいのか分からなかった。適切な言葉を見つけられなかった。
「R」はこのあと、どうなったのだろうと、考えずにはいられない。