本作の主題は、過去の自分に手紙を送るならどうするか。作品は、その手紙そのもの。解説は一切無し。
その手紙は希望に満ちています。読んでいて、送り主の前向きな姿勢に力をもらえます。
しかし。過去に手紙を送るということは、過去の自分が知らなかったことがあるということ、時間が戻らない世界の理に背かなければ取り戻せない何かがあったということ。
想像してみましょう。取り戻せない何かがあった人間の心中を。それは手紙そのものには書かれていません。
読むと希望と後悔が二重写しに見えてきます。
人の希望に対峙する、時の厳しさが裏の主題です。