何もかもが揃った、想定通りに成った、その世界線は閉じてゲームと完結するのだ。それは規範に沿っている様、感性は閉ざしていても、正確に射掛けられ、問いは続く。 走り出した止まらない導線、決してひとりでは完結しない、不確定で性格が露わとなって初めてそれは思い装甲から響いて並走する。 権謀術策をゲームと糧として外側を演じて魅せるは劇の一幕、戦場においては檄を飛ばして、一つの答え、一つのカタチのためにひとりを捧げて完成することなら、熱望へと変貌した罠の中。 若人はいつも劇の舞台に一人立たされて人生全てを演じるよう強いられるがごとく一つの幕開けは一つ幕を下ろして完結するのだといくつもの人生を渡り歩くようにと、興行に神輿にいつも引き合いに、今も魂は舞台に置いて、どこであっても自分が演じる本として在るなら、演じてしかない自分と舞台装置の中にある魂と、知らずと機関とし回し始めた歯車は履帯を戦地に走らせて、長い旅路の果てに靴の底で知ることになるこの行程はまだ生きて踏める足があること、それを教えるに語り部は今も共に歩き続けている。 大きな閉ざした環境の内々、機関の中の魂は、成ったはずの恋は今でも仮初の戦車戦にあっても、広がる白昼のもとに生まれて出た命を呼び止めるだけの声は無く、勝ち得たはずの栄光より換え難い、閉じた中に封ぜられた魂が渇望してやまなかった、青色が確かにそとに開けていた。
作者様は解説に書いていませんが、本作の主題は、ズバリ、心の殻。
戦車には装甲があります。というか、一方的に砲弾を撃ち込んで自分は守られる立場に居続けるために作られたのが戦車ですから、それはそれは分厚い装甲を備えている訳です。
手厚く守られてぬくぬくした環境にいると、人の心はどれだけ醜くなるものか。それは作中にしっかり描かれます。
では守りが弱かったら? 敗北を感じ取ったら? そこから人の心の強さが試されるんです。
戦車に乗っていれば顔は見えません。身元も分かりません。それでも操縦と砲撃から人となりが分かってきます。
固く身を守っている戦車が、閉じこもる人の心を比喩するものとして見事にはまっています。
ただ、戦車は装甲を破られたら負けですが、人の心は殻を破られてからが面白くなるもの。その対比は、作品を読んで確かめるようお願いいたします。
破られたら敗北か勝利か。恋の乱戦が幕を開けます。