概要
藤原 千鶴(ふじわら せんかく)
通称は千鶴(ちづる)男の娘。
生まれつき霊視感能力クレア・ボヤンスの持ち主で、十六才の誕生日を機に能力が進化する。
その進化した能力が原因で両親を亡くし、里子を余儀なくされるがその先でも不幸が付き纏う。
仮宿からも憔悴しながら逃亡したその行き着いた先には、幽世に近い『マヨヒガ(迷い家)屋敷』が待っていた。
そこの住人、梓(あずさ)や古杣(ふるそま)達に助けられ千鶴と同じ『クレア能力者』の仲間と出会い、共に『浄霊』を手伝うことに。
仲間達は千鶴と同じく様々な『不運』の運命に翻弄されながらも、共に補い助け合いなが
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!唯一無二な手触りを持つ、博覧強記な心霊ワールド
世界観に惚れこむ、どっぷり浸かる。そういう言葉をとにかく使いたくなる作品でした。
「霊」というものの存在を目や耳などの「五感」でそれぞれ捉えることができる「異能」を持つ主人公たち。
異能ゆえに強烈な生きづらさに悩まされていたが、同じような境遇を持つ仲間たちと出会うことにより、少しずつ自分の居場所を獲得していく。
本作の特徴となるのは、超心理学やオカルトなどの分野にまつわる、非常に豊富な知識の数々が出てくることだと言えます。
幽霊とはどんなものか。悪霊が人を襲うとはどんな理屈によるものなのか。
そうした現象を理論的に突き詰めていくことにより、「その世界」についての理解を固め…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あぶれ者が集う場所。無いなら作る。
まずレビューとしては好ましくない指摘から始めさせてください。本作の作者は他作品にて文体や構成など、文意・物語だけでない、伝え方そのものを変調させる実験を行ってきました。ですが本作は文体や語り口は保守的です。それは娯楽作としては読者に安全な構造をしています。
そこで語られる物語は、実に非現実的でありつつ薀蓄に支えられて、フワフワとファンタジーしておらず、現実味が共存しています。こちらも本作の作者の真骨頂です。
この世には、大多数が作る文化や「空気」からはみ出ている人が少数います。生きていて苦しく、しかし多数派を変えることはできず、「メサイアコンプレックス」を叶えることもできない、世界の中で…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その『絆』は、因縁も運命をも超えて。
これは、人生を打ち砕かれた者たちの
物語ではない。また、自らの在り方に
絶望した者たちの物語でもない。
彼らの超越した感覚は『何か』が突出した
分、別の『なにか』を持ち得ない。
それも、苦しいほど致命的に。
『超能力』者という括りにある彼らの
知られざる苦しみは、一人では決して
抱えきれないが、集い理解し補う事で、
重なっては交差しながら強化されてゆく。
恰も、美しい鉱物の精製の如く。
登場人物は皆、とても個性的で魅力に
溢れる。謎も多く、今後どの様に流れて
行くのかはわからない。それでも彼等の
強い『絆』と『縁』は変わらない。
其々が補い相乗し、佳き『何か』を
齎して行くだろう。
…続きを読む