第4話 『クレア・ボヤンス』

 そんな地獄のような生活が続きある週末の日、いつものじじいの背後に一人のが付いてきた。当人も叔父たちもその子に全く気も向けないというか気づいていないということは、人じゃないってこと。その女の子の霊はボクと同じ年ぐらいか、少し年下のような感じの子だった。ボクのこともずっと見えていてお互いに見つめ合う。なぜか他の霊のように恨めしそうにこちらを見て近づいてくることもなく、ただずっと悲しそうな・・・いや、憐れむような視線でボクのことをずっと見つめてくる。お互いに会話や意思の疎通なんて出来なかったんだけど、なんとなく分かった。ボクたちはだったんだと。


 あの子がなんで死んじゃったのかとかは分からない。けど、このじじいに憑いているということはボクと同じような経緯で恨み、死んでいったことを意味しているんだと思う。


 ボクはその日の夜も当然のように〇された。その間ずっとその女の子の霊と見つめ合いながら、二人で涙を流しながら、じじいは淡々と腰をフリ続けている。ボクと女の子は同調するかのように泣き、共鳴し反響するかのように悲しみと怒りがより強く溢れてきた。女の子の霊の感情がどんどんとボクの中に流れ込み、ボクのその泣き叫ぶ表情を見て聞いたじじいの股間はさらに固く、少し大きくなりやがった。その瞬間、激情なほどの怒りと憎しみに頭の中は支配されて、ボクはその後の記憶は飛んだ。


 そして気が付いた時はもう外は明るむ朝だった。右手には刃先が折れ血まみれのカッターナイフ。口の中いっぱいに頬張る異物感と溺れるような液体が喉につたわり咄嗟に胃液と共に吐き出した。四つん這いになって吐き出した目の前の”それ”はいつも奥まで突っ込まれるじじいの陰部が食いちぎられた肉の棒だった。ボクはまた血の混じった胃液を吐き出し、自分の足元までつたう血の元へと目をやると、ボクの下着を丸めて口に突っ込まれながら血だるまで死んでいるじじいの死体がベッドの脇に座り込んでいた。折れたカッターの刃先が左胸に深々と刺さり、股間からはまだ血が流れ出している。ボクが殺ったのか。実感は全くなかったが、裸で血まみれの身体で吐き出した肉棒と持っているカッターが自分だと物語っている。咄嗟に血が固まってベタベタしているカッターを怯えながら投げ捨て、血だらけで全裸のまま大きめのパーカーだけを羽織ってその場から逃げ出した。後で気が付いたというか思い出したことだけど、あの女の子の霊はどこにも見当たらなかった。


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