被爆、ときに胎内被爆に切り込む話は中々ありません。
児童被爆すら、禁忌とされ報道もされませんが題材として取り上げるのは素晴らしいですね。
放射性物質は長い時間や力の相移を受け、粒子の崩壊を起こさない限り、報道に限らず存在し…放射線を発します。
それはとても低い確率で、n→W‾=137Ba等に変化しようやく収まりますが自然には起こり得ない確率です。
その放射線が細胞を透過し抜けていくと細胞が破壊され、一定確率で細胞分裂されず不良細胞として癌になります。
それが胎児であっても起こる事ですね。
公に語られる事は無いだけに、このヒロシマ断章は貴重です。
『広島』でなく『ヒロシマ』と書けば、それは歴史的事件の現場。その事件をいかに伝えるでしょうか。散々言及される『風化』を避ける形で。
本作は現在の広島で『ヒロシマ』がいかに伝えられているのかを語ります。網羅的でなく多数の側面を飛び飛びに切り出して。ですから『断章』です。
事件当時の物は、原爆ドームは今もそびえていますが、多くは残っていません。事件を語るものは多くが後世に作られたもの。そこには解釈だけでなく創造も加わることを本作は教えます。しかし事件を偽る欺瞞ではありません。創造により後世の人の心中により正確な像を結ばせ得ることも教えます。
そして本作も『ヒロシマ』を伝える創造物が連なる大河の一部として創られました。解釈は読者に任されています。