どんな旅行記よりも旅行記

 僕はこの人の文章が非常に好きだ。簡潔で、とつとつと言葉少なに語る親父のような印象を受ける(そこには涙もあるかもしれない)。

 この文章のすべてが真実なのか、それとも脚色があるのかは僕の知る由もないが、そのすべてがこの文章の中に真実として存在する(そしてそれは我々に語りかける)。文章を貫く一貫性も素晴らしい。度々出てくるキノコの描写も文章中に我々をつなぎとめるかのようだ。
 広島市現代美術館の描写もすごく好い。以前、僕が訪れたときを(式場隆三郎の展示であったか)をありありと思い出させてくれた。