凸凹コンビの妙

本作はミステリー小説。そうなれば理知的な展開を期待しますが、本作の基調をなすのは主人公二人の掛け合い。

剛毅で行動力があり頭が切れる花子と、惰弱で要領が悪いものの一つだけ特技がある太郎。これは格差が生じて仕方ないか……と思えども、タイプが違う二人がひたすらツッコミあう展開が、理知的で固いだけじゃないコミカルな味わいを作ります。

漫才のような掛け合いを楽しんでいくうちに、重篤な事件がじわじわと進行します。入りやすくて入ると深い小説です。