昼行灯の暗中模索

 ふつう、ミステリーといえば探偵が快刀乱麻に事態を整理し犯人を追い詰めていく。

 しかし、我らが主人公にその雰囲気は欠片もない。まあ、相棒(?)の骸骨標本と一体化すれば潜在能力が覚醒するかもしれないが、あいにくそうした作品では微塵もない。いまのところ、彼が得意なことといえば料理くらいか。

 にもかかわらず、どうしてか私は彼に期待してしまう。まことに逆説的ながら、もっとも持たざる者に判官贔屓めいた期待をしてしまう。

 いずれにしろ、一流の筆致による推理劇を堪能しているところだ。

 必読本作。

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