裏を繰り返す
- ★★★ Excellent!!!
作者一流の語り口調が秀逸な本作、よくある桜死体物(?)かと思いきや、どうも調子が違うと出だしから気を引かされる。
思うに、花見というのは参加がすなわち鑑賞となるのだが、座興で歌ったり踊ったりする人間もいるだろう。現代では、たんなる迷惑行為になりかねないので、静かに楽しむのが作法ではあるにせよ。
本作の主人公は、二十年にも満たない人生の中で、自分の本音を何度となく鑑賞してきたに違いない。心細くも芽生えたそれを。
もう他人の振りつけなど受けつけない。
必読本作。