さまざまお祝いの席で見かける満面の笑みの男。奇妙な雰囲気の笑顔の男が主人公の記憶に残ります。気になったから、わかるのです。その男を見たら、必ずあることが起きる事に。日常の間に起きる奇妙な一致。それは現実に起きているのか錯覚か、心身の病か、それとも────何かに気がついてしまった男。彼に待ち受ける運命とは。ぜひ、本作をご覧になってお確かめください。
県知事の初登庁、高速道路の開通式、商業施設の開幕セレモニー。おめでたい場面にたびたび現れる「笑顔の男」の存在に気づいた主人公。なぜか男が現れた場所では、後々良くないことが起こって……。そんな話を聞いたら、皆さん色々と考えることはあるでしょう。でも、冷静にあれこれ考えていられるのは、なぜですか?多分、フィクションだから、ですよね。最後まで読んだら、今度は何を考えているのでしょうか……。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(167文字)
お祝いの席にまたヤツがいる。お気の毒様。次のターゲットは?
目を糸のようにして満面の笑みを浮かべる男。「人の不幸は蜜の味」と言うけれど、自分には降りかかってほしくない。そんな暗い感情を見抜かれるような物語が、なぜか心地よい。
「目にしてはいけなかった。だが見てしまった。見続けてしまった。そして……」このくだりがそっくり読者に当てはまるような物語です。ホラー界の秀逸、傑作。真に迫りくる恐怖をどうぞ。
カメラマンである『俺』は、当選した県知事の初登頂時、高速道路の開通時、大型商業施設の開業セレモニーの様子を撮影していた。そこで、どこにも「同じ奴」がいることに気が付く。目を糸のように細めて、満面の笑顔をしているそいつのことを、俺は「祝男」と名付けた……笑っている人が信じられなくなりそうな、不穏な読後感。心に良い、ざわつきをくれます。ご一読を。
違和感という気味の悪さを、最大限活かしきった良作。人の業も、するりと入れ込んで。
読んだあと、猛スピードの自動車が自分めがけて一直線に突っ込んでくるような印象を受けた。止まれといおうが止めろといおうが効き目はない。 左様、本作の最初の一文字目を読んだ段階で、すでにアクセルがいっぱいに踏みこまれブレーキは外されている。にもかかわらず、読まずにはいられない。 必読本作。
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