この作品を読み終わった後、私が持った感想は「わかるかも」でした。
生活に疲れ、何もかもが煩わしくて、仕事や家事や人間関係や、生きていくことさえも放棄したいと思っていた過去の自分と、ことあるごとに自分の身体の一部をちぎっていく彼が、なぜか重なって見えたのです。
死にたいわけではなくて、でも生きるのも面倒で。逃げて逃げて、でも問題の解決にはなっていなくて。その現実が更に自分の心に大きな負担をもたらす。
それでも、いっときの慰めに支えられて、同じことを繰り返しながらも生きていく。
作中の
“人混みで自分の輪郭に小さな切れ目がたくさん入っていくのを感じていた。”
という一文がものすごく心に残っています。