このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(136文字)
人の気も知らないで。人はしばしばそう言います。他人の心は見えません。でも見えないからと言って存在しない訳ではありません。他人からは見えないもののつらさがひしひし迫ってきます。
読後、この絶妙に説明不足な人間関係が効いてきます。頭の中で、いろいろ妄想がふくらみまして二度、三度と楽しめます。でも絶対、僕とあの娘は結ばれないんですよ。あの娘は僕に恋愛対象としての興味なんて全くないのだから。くぅーっ、せつないですね。
結婚式あるある、男性あるあるな話だと思います。どうですかね、読了感は少しだけ「こころ」に似てると思います。ただ「こころ」を読了した後に感じる負の感情はなくて、すっきりしたものが残るって感じのモノですが・・・。ただ、小説としては、ダブルミーニングみたいなところもあって、読み手によって感じ方が違う小説だと思います。でも、読んだ人、一人一人で感じ方が大きく変わるってのは、ショートショート冥利につきるって感じだと思います。
キュッと息苦しくなるような作品でした。僕の気持ちを誰も知らないからこそ、行き場がない気持ちと、知られていないからこその気持ちの葛藤が見事にまとめられています。仲のいい友達にパァーッと相談できれば気が晴れるなり、何か吹っ切れることもできるのかもしれませんが、その仲のいい友達が・・・というタイトルに相応しいどんよりとした余韻を残してくれる作品でした!
凝縮されたバームクーヘンエンド、そしてたぶん、BSS(僕が先に好きだったのに)!
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