第五十六話 俺がベッドサイドに立つと背後から萌葱が服を脱がしてゆく(秋が、あた、ふた、と受けとるさまが可笑しい)。最後の一枚を脱がし終えると部屋の外周から溜め息が洩れた。

 立花たちばな 萌葱もえぎさん ――


 メイドでありながら、80悠余年の伝統と格式を重んじる貴堂院女学苑きどういんじょがくえんの事務方の(多分)チーフ。

 つまり、学府としてなら上の『短期大学部』があるが、事実上のトップであるここ『高等部』のNo.2である。

 その知性と教養をうちに秘めた麗しき女性の、静謐なエロ美しい立ち姿に俺は、ただ、見惚みとれていた。


 乳房を惜しげもなく曝けだし、アンダーヘアをまるで隠そうともしない……本来、女性が処を逆に剥きだしにするこのスタイルうるわしさの異常さは何だろう。


 ―― これがこそ、一之江いちのえグループの専属デザイナー亙井わたらい 透子とうこの主宰する上流階級の奥さまお嬢さま方ご用達のオートクチュール工房『TOHOKOとおこ』のアダルトバージョンである『TOHOKOとおこAUPEVあうぺぶ (An underground performance version)』ブランドのメイド用エプロンドレスの最新作だったのである。



「お殿さま、大変お待たせ致しました……準備が整いましてございます」


 ―― 最近、俺を『お殿さま』と呼ぶ女性が居る。彼女たちは、つまり、俺の『ハーレム』に入る事を許諾した(いや、望んだ)女性たちである。


 しかし、萌葱は違う。多分、違う(大変残念ではあるが(笑))。


 俺が立ちあがると扉を開いて半歩下がり、廊下に出れば先導する為に半歩前を静々と歩く。

 その洗練された様式美は、多分生まれた時からしつけられ教え込まれた物に違いない。

 つまり、呼吸するが如しであり、自然な動作な、の、で、あ、る、が……


 ―― 俺の前を、ぷり、ぷり、と形の良いヒップが、柔らかそうなお尻が、剥きだしの尻肉があああっ!?……ゆ、揺れてるんだがあああっ!?


「お殿さま、鼻の下が伸びてますよ!」


 ―― いや、俺の背後を歩く秋には、『俺の鼻の下』は見えないよね?

 後で〝お仕置き〟決定だからね!



 そんな尻n……いや、後ろ姿に見惚れて歩いている内に【懇親会】会場に着いたようだった。

 先ほどショーツにサインさせられた最初の超々美少女 ― 確か、勢納せのう 聖愛せいらだったか ― が、入口扉を開いて待っていた。

 実は彼女は二年飛び級の天才らしい(つまり16歳だ)。まあ、だから歳上の同級生の手前、ドアガールを買ってでたのだろう。


 ―― な、の、だ、が、俺が横を通り抜けようとした時、ちゅっ、と唇を鳴らしウインクしてきたのだった。


 これは、ちょっと、素通りできないわからせんといけんのではないか?


 開いた扉の向こう、仄暗ほのぐらい室内から同級生たちの視線が絡みくる。

 小生意気だが可愛い歳下の同級生をどうして魅せるのか、俺をも測っている愉しげで興味津々な視線が絡まりくる。


 俺は右手で顎を、ついっ、とあげて、左手で後頭部を固定するお馴染みのとくいなポーズを決める。

 ……が、聖愛は瞳を閉じもせず、極至近距離から俺に視線を絡ませてきた。

 良いね♡

 こういうは実は好みだ。


 舌先を伸ばして聖愛の上唇を跳ねあげる。隙間から、ちろん、と覗いた桃色の小さな舌先を咥え込み、ぢゅずずずずーぅ、っと水音高く吸い立てた。

 続けて下唇を吸い、上唇を吸い、舌を絡ませ、唾液を流し込む。


「はふっ、むぐぅ、おぶっ!?」


 想定外の(いや、想定以上の)口撃に、呼気を乱し、ごきゅ、と咽を鳴らせて俺の唾液を嚥下した。

 唇を解放してやると「けほっ、えほっ!?」っと咳き込んで、しかし、涙目で睨んできた。


 ―― いいね、良いねっ♡


 俺は左手で後頭部を固定したまま少し退いて聖愛の衣裳を確認した。


 先ほどサインさせられたショーツも透けすけのローライズビキニだったが(サインするスペースないじゃんと思ったが)、〝お色直し〟はノーパンだった(笑)。

 と言うか、今回も透けっすけの淡いピンクのベビードールだ。

 アクセントに首周りを締めるリボンが乳房の上に流れち○びを隠している。


 ―― 流石だぞ『TOHOKOとおこAUPEVあうぺぶ』♡


 俺はリボンの先を小指で弾き、うっすい布地の上からち○びの外周を、つつうっ、となぞり、聖愛の意識がそこに向いた隙に股間に手指を忍ばせた。


「ひっ!?」


 っと、声を洩らして股を閉じた聖愛の涙目で俺は確信した。


 ―― 聖愛は《処女》だ。


 俺は聖愛の耳元に口を寄せ、小声で囁いた。

「今から聖愛の〝はぢめて〟を貰うぞ♡」


「はいっ、お殿さま♡」


 俺の首に両腕を巻きつけて唇を押しつけてくる聖愛の、背と膝裏に腕を廻して〝お姫さま抱っこ〟で抱えあげた。


 そのまま、一歩室内に足を踏み入れると、どこで誰が操作したのか部屋の灯りが、す~~っ、と灯った。

 外周に設えられたソファーに三々五々、九人の(いや、十人居るぞ(笑))参加者選らばれた美少女たちが寛ぎ、俺たちを見詰めていた。

 その中央には、ダブルベッドサイズのマットが敷かれ、使用者おれたちいざなっているようだ。


 俺はその上に聖愛を放り投げた。

「ひっ!?」

 っと叫んだ聖愛が捲れたベビードールを押さえもしないで俺を睨んできた。


 ―― 良いね、いいねっ♡


 俺がベッドサイド(いや、マットサイドか?)に立つと背後から萌葱が服を脱がしてゆく(秋が、あた、ふた、と受けとるさまが可笑おかしい)。

 最後の一枚を脱がし終えると部屋の外周から溜め息が洩れた。


 ―― 聖愛も、腹に貼り付いた俺を口をあんぐり開いて、ガン見、している。

 可愛いしかないんだがっ♡♡


 そして、全員の視線を充分に惹き付けたまま、麗しきNo.2が、ぱっくん、してきたのだった。



            【つづく】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る