第四十五話 「昨日まで、こちらの日本大使館に勤務しておりました」つまり、お姫さまにヘッドハンティングされたのか? メイドでも、給料良さそうだもんな(笑)。「はい、お陰さまで三倍ほどに(笑)」

 教室の前の引き戸を、がらっ、と開けて二人の(多分)メイドさんがワゴンを押して入ってきたのだが。

「お待たせしました、おひいさま」

「ごくろうさま……モブぅも、カエデも、いっしょうにどうですか?」

「「は、はいぃ!?」」

 俺と花楓と、クラス中が呆気にとられているウチに、二人のメイドさんが俺とぷりぷりの前に花楓の机をくっつけて(俺の前の席の男子は何処かへ追い遣られて)いた。

 そして、てきぱき、と三人の机の上に豪華な王宮料理ご馳走が並べられたのだった。


「さあ、えんりょうなあく、めしあがれ、ください♡……ロシアのぉ、りょうりぃだけど、おきにぃ?、めしますとよいのですが…」


 ―― いや、スープとか、湯気が立ってるんだがあっ!?



 コース料理という訳ではなかったが背後にメイドさんにかしずかれての食事は気疲ればかりなんだが。

「あのぅ、箸とかお借りする訳には?」

「はい、こちらをお使いください、さま」


 ―― いや、『モブぅさま』って、さっきまでの教室内部が(或いは盗聴)されてたんじゃあるまいな?


「日本語お上手ですね」

 明らかに日本人とは違う金髪碧眼の巨乳メイドさんに声を掛けた。

「ありがとうございます、昨日まで、こちらの日本大使館に勤務しておりました……日本に住んで、もう五年になります」

「わたくしは、三年半ですわ」


 ―― つまり、お姫さまの留学に合わせてヘッドハンティングされたのか?

 メイドでも、給料良さそうだもんな(笑)。


「はい、お陰さまで三倍ほどに(笑)……尚、サイズはトップシークレットでございますので開示は致しかねます♡」


「えっ!?……(色々)声にでてた?」

「モブぅ、く~どいたらだめよぉ……ふたりとも、ひとうまだから」

 ぷりぷりから、突っ込み戴きました。


「「ふふふ♡」」


 メイドさん二人は色っぽく笑っていたのだが。


 ―― 歳上のメイドさんは、98センチHカップと見た……が(笑)。



 料理はとても美味しい……と、思う(笑)。

 いや、クラスメイトの視線やら、メイドさんの無言の圧やらで、まるで味わえていないのだが。

 花楓を見るとナイフとフォークで上手に食べている。流石はお嬢さまだ。


 ―― そんな〝お嬢さま〟にしちゃったんだよな。


 花楓を、ちら、見ると……

「すけべっ!?」

 っと、唇が動いた。


 ―― 何故判るっ!?



 そんなこんなで、翔んでるおひいさまの留学初日は終了したのだった。


 プリーハチ・プリンツェーッサ(Прихоть・Принцесса)とは、ロシア語で『気まぐれな皇女さま』という意味らしい(ググった(笑))。

 皇女(王女)さまとか、おひいさまとか言ってもロシア王室ではなく、高貴な貴族の家柄の〝お嬢さま〟と言う辺りらしい。

 どちらにせよ、普通なら俺などの関われる相手ではないのだった。


 彼女が巻き起こす〝翔んでもハップン〟な騒動を、この時の俺はまだ想像もしていなかったのであるが。



   ■片桐かたぎり 花楓かえで 視点■


 また、美少女があっ!?

 今度は、更に『お姫さま』って……聞いてないんですけどぉ!?


 しかも、人妻だからって、あの巨乳美人二人、ぜ~~~たい、よぉ!?

 ……なんで、モブちぃの後ろにだけ、ぴたっ、と貼りついてたのよぉ!?


          *


 翌日はぷりぷりが『学園長室』に表敬訪問……って、俺が同行する必要あるのか?


 ―― って言うか、学園長を初めて見たよ(笑)。40代半ばの、すこぶる付きの、美人さんだ。オッp……いや、何でもない(ブラボー、とだけ言っておく)。


 一之江いちのえ いくる女史。本学園の創始者の『本家筋』にあたる家系らしい。


 因みに一縷いちる女史(ご存知俺の担当だ)や、いたる(生徒会長だ)は『分家筋』だと、今日初めて知った。

 だから、学園内で好き勝手しても許されているのだな(笑)。


 ぷりぷりが学園長に何か贈り物を渡し、学園長からお返しが……みたいな流れを側で見ている俺って、誰得だよ(笑)。

 帰りたいんだが?


 更に、ソファーを勧められ……何で俺がぷりぷりの隣にぃ?(因みに同行していた巨乳のメイドさん二人は背後に直立不動なんだがっ!?)

 しかも、学園長が流暢なロシア語で話し始め(すごーっ!)ぷりぷりもロシア語で答えるので、俺はちんぷんかんぷんだしぃ(笑)。


 ―― いや、話ながら二人して俺の方を、ちら、ちら、見るの止めて欲しいんですが?


          *


 やっと一息吐いたのは生徒会室に移ってからだ……て、今って授業中だよね?

 何で、生徒会長にして学園美少女トップ3の内(誰が1位かは明言を避けたい)、一之江いちのえ いたるも、生徒会副会長の桃城とうじょう 董乃とうのも、授業中なのに平然とぷりぷり(プラス巨乳メイド二人)と〝お茶〟してるんだよ。


「なんでもぉ、ふたりぃは、となかがイイのですね?」


 ―― いきなり、ナニを訊いていやがりますかっ!?


「勿論ですわ♡……とは、らぶっらぶ、なんですぅ♡」

 董乃がソファーの俺の隣に、ぴとっ、と密着して坐りいきなり唇を奪ってくる。


 ―― だから、そのは止めなさいと言ったよね?……ってか、ナニを人前でキスしてくるのさあっ!?


 しかも、美人の巨乳ロシアンメイドさんがをしてきたんだがっ!?


「一之江さま?……先ほど学園長が、おひいさまにご説明くださった件でございますが……なんでも、このお部屋の中では、誰でもと、ちゅー、して良いと言うのは本当でございますの?」


 そして、気がつけば董乃を、ぽい、した美人で巨乳のメイドさん二人に俺はゼロ距離で挟まれているんだがぁ!?


 ―― いや、貴女たちお二人はだと聞いたんですがぁ!?……あうっ♡…しょんなちょこ、さわりゅの、やめへ、ほしひんれしゅがぁ!?


 しかも、対面のソファーから、ぷりぷりが興味津々で身を乗りだしてきてるんだがっ!?



            【つづく】

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