第四十四話 身長は小柄な部類に入るだろうが、細身な身体に似合わない〝爆弾(巨乳)〟が二つ。 クラス中の男子の視線を総取りだ。……同時に、クラス中の女子の反感も総取りだが(笑)。

   ■片桐かたぎり 花楓かえで 視点■


 なによ、なによ、なんなのよ~~~っ!?……このメンバーってぇ!?


 〝きすみん〟は今日は居ないけどぉ、〝氷姫〟でしょ、〝おっぱいっ〟でしょ、それにぃ、生徒会の〝美少女二人〟……生徒会長と、いつ、そんなに親しくなったのよぉ!?

 それと、だれ?……色っぽい〝ピンクの美女〟はあっ!?

 な、なんでイケメンでもないのにぃ、モブちぃの周りに美少女や美女が集まるのよおおおぉ!?


 まだ、『お付き合い』も始まってないのよぉ!?……なんで、なんでぇ、『浮気』の心配なんか、しなくちゃいけないのよおおおぉ!?


          *


 明けて月曜日の昼休み ――


 恒例の『お弁当デート』……なんだけどぅ!?

 花楓の〝ご機嫌〟が、、宜しくないぃ(笑)。

 今日は遅刻してないし、理由は他にある。

 いや、誤魔化しても何も始まらない。素直になろう。


 ―― てか、昨日の件は……俺が悪いのか? 違うよね?


 まあ、誰が悪くて、誰が悪くない……とか、でなく、

 俺が悪いんだろうな(笑)。

 ここは、ご機嫌とりに……


「きょ、今日も食べる前に……き、キスしても…い、良いかな?」


「あら?、(槍でも降らないとイイけど?)う~~~んと、えっちぃ、のじゃなきゃ嫌よ♡」


 な、なんか〝不適切発言〟がっ!?

 ―― が、頑張るぞっ♡


 それから、10分後 ――

 花楓の機嫌は直り(治り?)ました。やれ、やれ(笑)。


          *


 しかし、折角、花楓と仲直りできたと思った翌日 ――

 朝のホームルームに美しい爆弾娘〝金髪碧眼〟の交換留学生が遣ってきたのだった。



「わたくしのなまえは、プリーハチ・プリンツェーッサ、といいますす。〝ぷりぷり〟と、よんくださいね♡」


 ロシア生まれ( ← 多分(笑))の、絵に描いたような〝金髪碧眼〟の美少女だ。ふわふわした長髪が腰まである。足、ほっそっ!?

 身長は小柄な部類に入るだろうが、細身な身体に似合わない〝爆弾巨乳〟が二つ……(笑)。

 クラス中の男子の視線をだ。見たトコ、99センチHカップ、いや、Iカップはありそうだ。

 同時に、クラス中の女子の反感もだが(笑)。


「えー、ぷりぷr……う、うん、はロシアからの交換留学生だ。仲良く呉々も失礼のないようにしてくれ。席は、換わりにロシアに行った○○のトコな……モブぅ、面倒見てやれおこすな。今朝は以上だ」

 帰り掛けた担任がもう一声。

「モブぅ、彼女は教科書が届いてないから、見せてやれ……問題、起こすなよっ!」


 ―― いや、教師が『モブ』って、何だよっ!?


 ってか、俺の隣ぃ?(因みに、左隣が花楓で、ぷりぷりは右隣だ。その右側は廊下の窓だ。後ろは…良いか(笑))


「よろしーく、おねがい、しますす、さん♡」


「『モブぅ』でなく、夛茂たもです、ぷりぷりさん」

「『さん』は、いりませーん」

 何か感がっ!?


で大丈夫よ……わたしもぷりぷりって呼んで良い?……わたしも、か・え・で、って呼んでね♡」


「はい、す、カエデ♡」

「日本語お上手ね」

「ニッポンのマンガで、べんきょーしましたす♡」


 彼女は『で』が『れ』になるが、ホントに日本語が達者だ。


「それじゃ、教科書見せるから、机をくっつけるね」

 俺が立ちあがると、ぷりぷりが慌てて遮った。

「いえ、みせてもらう、わたくしが、くっつけるす」

 そう言って立ちあがって机を動かすぷりぷりのに目がいく。


 ―― いや、男なら、見るよね?


「いてっ!?」

 花楓に脛をけられた。

「どしました?…モブぅ?」

「いや、こんな美少女二人に挟まれて幸せだなあ、と♡」

「後ろにも居ます、ご主人さま♡」


 ―― いや、人前では止めようね、おバカ娘きすみんっ!?


「あなたもぅ、とってもう……しーてき、す♡」


「『しーてき』?…ん?……詩的?」

 後ろから、〝きすみん〟が、ぼそっ、と言った。


「『ステキ』と言いたいんじゃない?(ご主人さま)……全然、違うよね(笑)」


 更に、花楓まで同意を示す。


「うん、うん、わね(笑)」


 ―― 判ってるからっ!?



 そして、休み時間のたびに、まずは女子が、ついで男子が人垣を作り、俺は廊下に追い遣られたのだった。


 ―― んで、昼休み。俺は購買でパンでも買って『漫研』部室に避難しようと思ったのだが……

 何やら廊下の向こうからが近づいてくるような?

 そして、教室の前の引き戸を、がらっ、と開けて二人の(多分)メイドさんがワゴンを押して入ってきたのだが。


「お待たせしました、おひいさま」


 ―― えっ!?……お姫さまって、言ったかっ!?


「ごくろうさま……モブぅも、カエデも、いっしょうにどうですか?」


「「は、はいぃ!?」」


 俺と花楓と、クラス中が呆気にとられているウチに、二人のメイドさんが俺とぷりぷりの前に花楓の机をくっつけて(俺の前の席の男子は何処かへ追い遣られて)いた。

 そして、てきぱき、と三人の机の上に豪華な王宮料理ご馳走が並べられたのだった。


「さあ、えんりょうなあく、めしあがれ、ください♡……ロシアのぉ、りょうりぃだけど、おきにぃ?、めしますとよいのですが…」


 ―― いや、スープとか、湯気が立ってるんだがあっ!?



            【つづく】

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