第四十三話 まだ、『お付き合い』も始まってないのよぉ!?……なんで、なんでぇ、『浮気』の心配なんか、しなくちゃいけないのよおおおぉ!?

 しかも、しかも、その時、本日四回目のピンポンが ――

 ―― 嫌な予感しかしないんだが?

 開けた扉の向こうには ――

 三段お重を重そうに提げた花楓が……


 本日のコーデは、白のニットセーター にレッド系統のハイウエストのミニ、その上にベージュのショートダウンコートを(袖を通さずに)肩に羽織っていた。足元は淡いピンクのスニーカーに白のアンダーアーマーソックス(リボン付き)だ。

 因みにバストは、88センチFカップの(俺の掌的に)黄金サイズだ(笑)。



「「「「「(きゃあああああっ!?……本命のご登場だあああっ!? )」」」」」



 ―― んんっ?……何やら背後の五人がざわめいているんだが???


          *



 そんなこんなで七人でお昼をとるコトとなった。


 昼食関連の持ち込みのなかった三人が恐縮したが、秀流たちのお握りも、何より花楓のお重の三段目がちらし寿司なので、ご飯も充分だったのだ。


 次の問題はだ(笑)。

 三人掛けソファーと対面の俺が坐る(多少大きな)一人用ソファーに、七人だ。

 例の背の高いスツールと俺のPCデスクの椅子はソファーテーブルには高過ぎて使えない。

 俺の横に一人、三人掛けに五人……が、妥当だとなった。


 ……で、俺の横は、、『全員一致』で花楓になった。

 花楓も恥ずかしそうだが拒んではいない……えっ? そうなの?


 試しに坐ってみたら……といたる(生徒会長だ)が言いだして、俺の左側に花楓を坐らせた。お互いに身体を斜めにしても流石に窮屈だ。

 洸が「こうすれば良い」と、花楓の右足(腿の辺り)を俺の左足(腿の辺り)に重ねた。

 いや、確かに狭さは若干解消されたが……めっちゃ恥ずかしいんだがっ!?

 俺以上に花楓は真っ赤になって下を向いている。

 ……てか、足をあげる時に花楓のミニスカートが捲れて〝おピンクの布地〟が見えたんだが。


 ―― 俺も花楓も、一杯いっぱいだ。


 取り敢えず、足は元に戻して……さて、残り五人だが。

 坐って見ると明らかに無理だ。

「じゃあ、何も持ってこなかったし、わたくしが床に坐りま~す」

 萌々ももがそう言って俺側のソファーテーブルの横に坐った。

「なら、あたしがこっちね」

 その反対側に洸が坐った。董乃とうのが洸と代わると暫くゴネたが、それでは決定した。

 考えてみれば床に坐った二人は〝全裸土下座〟のでもあったのだから(笑)床に坐るなどお手のモノだった……のか?



 そして、全員で「いただきます」と声を合わせて食事が始まったのだった。


 花楓のちらし寿司もおかず(惣菜)も皆が褒めている。俺もいつも美味しく戴いているので自分のコトのように鼻が高い ← ナニを自惚れてんだか(笑)。


 秀流など恥ずかしそうに作り方や味付けを訊いている。

 花楓も普通に答えている。

 そんな花楓を見て洸が、ボソっ、と言った。


「敵に塩を送るとは……むむむ、ヤルなっ♡♡」


 ―― いや、『敵』って何だよ(笑)。


 そんな時、萌々スケお騒がせ女が ――

「センセ……はい、あ~ん♡」

 〝だし巻き卵〟を箸で摘まんで差しだしてきた。


 ―― 流石にそれは拙いだろっ!?


 花楓を、ちら、見ると頬を、ぴく、ぴく、させている。

「ももちゃん……それは自分で作ってきてからえっ!? 」

 秀流がナイスな指摘ツッコミを(笑)。


「(も為さっていないのに、なんたる無礼をっ!? )」


 洸が何か、ボソっ、と言ったが良く聞きとれなかった。


 それから暫く食事が進んだころ ――


 花楓が膝に広げていたハンカチを畳んで俺の口元に持ってきた。

「なに?」

「動かないで」

 と、言って花楓が俺の口端を拭った。

「反対側は?……大丈夫ね」

 笑いながら拭ったハンカチを見せてきた。

「ソースが垂れてたわよ」


 ―― そして、そのハンカチに唇を寄せ、ぺろっ、と舐め取ったんだがあっ!?


 多分、花楓はだ。しかし、他の女子たちにザワメキが広がった。

「ん?」

 しかし、全員が自分を見ているコトに「なに?」という顔をしただけで花楓は食事を続けたのだが。

 だから、無自覚なんだってば(笑)。



 後日、洸が俺に語ったトコロによれば、男の左側の席が〝奥方さま〟ポジションらしい。だから花楓を左に坐らせたのか?



 ―― 食事をしている時に周りを見て、ふと、気づいたのだが、この六人とは、俺は恋人でも無いのに、ちゅー、したり、オッパイを揉んだりしてるんだよな。

 更に、二人は〝真っ裸〟も拝見済みだしぃ♡

 この六人以外にも、〝ヤバいやつきすみん〟も居るしぃ、一縷いちる女史に至って〝ヤバいトコ〟まで拝見済みだしぃ(笑)。


 ―― 最近の俺……どした?(笑)。



          *


   ■片桐かたぎり 花楓かえで 視点■


 なによ、なによ、なんなのよ~~~っ!?……このメンバーってぇ!?


 〝きすみん〟は今日は居ないけどぉ、〝氷姫〟でしょ、〝おっぱいっ〟でしょ、それにぃ、生徒会の〝美少女二人〟……生徒会長と、いつ、そんなに親しくなったのよぉ!?

 それと、だれ?……色っぽい〝ピンクの美女〟はあっ!?

 な、なんでイケメンでもないのにぃ、モブちぃの周りに美少女や美女が集まるのよおおおぉ!?


 まだ、『お付き合い』も始まってないのよぉ!?……なんで、なんでぇ、『浮気』の心配なんか、しなくちゃいけないのよおおおぉ!?



            【つづく】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る