第二十八話 故郷を遠く離れて路頭に迷っていたわたくしは、悪い男に騙されて女郎屋に売られる寸前でございました……ベン、ベン!

 そして、大河内おおこうち オッパイスキー大先生が一栞いちかを見て一声。

「おい、お前……丁度良いんで、オッパイを見せろ!」

 大先生にとってはそばにいる女(特にオッパイの大きな女)は、こういう扱いで済んできたんだろうなあ?


 どうするっ?、どうするよっ、俺っ!?

 俺は、何も案が浮かばないまま、一栞を庇うように前に出たのだった。

「キマイラ、何の真似だっ!?」

(キメラです、大先生!)

 しかし、オッパイスキー大先生の一喝に怯む訳にはいかない。

 一栞が怯えるように俺の背に貼りつく。

 いや、今はそのオッパイを押しつけるの、止めて貰って良いですかね?


「このは編集長の遠縁に当たる娘でございまして、わたくしめがお預かりして連れて参った次第ですので、オッパイスキー大先生のお目汚しになっては取り返しが尽きませんです、はいっ!」


 嘘ばっかだが、一気に捲くし立てて俺はその場に〝土下座〟を決めた。


「この通りでございますぅ!?」


 そして、床から一縷いちる女史を、ちら、見ると小さくサムズアップしていた。

 良し、女史の了解も貰った。


「些かとうが立ってはおりますが、オッパイ担当の一縷女史が控えておりますれば、是非ともご使用の栄誉を賜りたく……」


 もう一度一縷女史を、ちら、見ると睨んでいた(笑)。

 何故っすかーっ!?


「いや、一縷のオッパイはもうでなあ……そうだ、娘はもう年頃に成長したであろう?……オッパイはお前に似て大きいのか?……大きいなら、すぐ呼べ、いま呼べっ、ここへ呼べっ!」


「いや、大先生、一縷女史の娘は俺の同級生ですが……あのオッパイは全然ダメでございますぅ!……とても大先生のご使用に耐えるシロモノではございませんです、はいっ!」


 もう一度一縷女史を、ちら、見ると微妙な顔だ(笑)。

 何故っすかーっ!?


 その時だった ――


「センセ、おっぱいも、お股も洗ってきたわよん♡」


 奥の扉を開けて(シャワー室らしい)妖艶美女がバスタオル一枚で、しゃなり、しゃなり、と登場したのだった。

 ナイスぅ!、名も知らぬ美女よぅ(笑)。

 俺は心の中でサムズアップしていた。



 そんなこんなで、大河内 オッパイスキー大先生へのご奉仕(アシとも言う)は翌日早朝に無事終了したのだった。

 そして、一縷女史がそれぞれにタクシーを呼んでくれて解散となったのだが、俺の耳元で女史曰く。

「一応、お礼言っておくわね……一栞ちゃんのコト、わたしの娘のコト、他に若干があったけど、まあ、ありがとうね(笑)……いずれ、お礼するから♡」


 そして、まだ寝ているだろうが、俺はタクシーの中で花楓にLINEした。

 今まで掛かって漸く終わったのでこれから寝るコト。昨日(土曜日)の埋め合わせは来週するコト。

 そして、月曜日の弁当を楽しみにしている、と伝えたのだった。


          *


 そして、翌日(いや、今日だ)昼過ぎに俺はピンポンの連打で起こされたのだった。


 眠い目を擦って開けた扉の向こうに居たのは……

 一縷女史の娘であり、生徒会長にして学園美少女トップ3の内(誰が1位かは明言を避けたい)、一之江いちのえ いたると、

 生徒会副会長にして二回生限定での美少女ランキングならトップの桃城とうじょう 董乃とうのであった。


 いや、何故?、何しに?


「おはよう、モブクン♡」

「おはようございます、夛茂たも先輩♡」

 二人はにこやかに挨拶して入ってきた。

 いや、『おはよう』って、もう昼過ぎだけど?

「えっと、何のご用でしょうか?」


「今朝方帰って来た母上に言われたのよ、モブクンの土曜日のモデルデッサン彼女とのデートの予定を仕事で潰させたから、お詫びにを提供するように、とね♡」


「は、はいぃ!?」

 若干な単語が隠れていたような?


「と言う訳で、おっぱい、その1で~す♡……母上と同じサイズで93センチGカップよっ♡」


「おっぱい、その2でございます♡……会長には及ぶべくもございませんが、自己評価では美乳の87センチFカップでございますれば、ご存分に♡」


 そう言って二人はセーターの胸元を両手で揉みあげて魅せたのだった。


 ―― ちょ、待てぇ~~~っ!?


 しょの、むにゃもちy…いや、う、おほん…胸元に大きく橫スリット(いや、穴だ)の入ったセーターは、所謂いわゆる〝童貞を殺すセーター〟にゃのではあっ!?

 しかも、揉みあげて拡がったスリットにはブラの痕跡が見えないのだが(つまり、推定ノーブラ?なのでは)あぁっ!?

 しかも、股下ギリの裾から伸びる、むっちり、とした生足太腿(主に会長のだが)に俺の視線はロックオンなんだがあっ(笑)。


「え、えっとぅ……会長の方には若干思い当たる節もあるんだけど……」


「やっぱりそうなのねっ♡……なんでも、悪代官に捧げられそうになったあたしの貞操を〝土下座〟してまで守り抜いてくれたってっ♡」


 いや、どんな時代設定だよっ!


「羨ましゅう、ございますっ!」

「いや、その点、副会長さんが一緒に来る必要は無かったのでは?」

董乃と・う・の、とお呼びください♡」

「と、董乃、さん」

「さん、は要りません」

 何かデジャブ感が……

「それで、董乃が来る必要は…」


「語るも涙、聞くも涙の、わたくしの身の上……ベン、ベン!」


 な、何か長くなりそうな……(笑)。


「故郷を遠く離れて路頭に迷っていたわたくしは、悪い男に騙されて女郎屋に売られる寸前でございました……ベン、ベン!」


 いや、だから、どんな時代設定だよっ!


「そこに、偶々たまたま通り掛かられた会長の母上さまに助けられたのでございます……以来、母上さまのお宅に居候させて戴いておりますので、母上さまのとあらば、馳せ参じる所存にございます……ベン、ベン!」


 ―― 生徒会副会長、桃城とうじょう 董乃とうの自分語りの一幕でした。

 や、やれ、やれ(笑)。



            【つづく】

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