第三十四話 はて?……濃厚な、べろちゅー、も済ませましたし……おっぱいも、たっぷり、揉んで戴きましたし……もう、『旦那さま』で宜しいのでは?

 仕方なく(?)俺は左手で 貴澄きすみの唇をガードしつつ、右手をビッチ仕様の裾から差し込んだ。

 巨乳とは裏腹に控えめな柔尻をまさぐりつつ、谷間に手指を差し込めば……ありました、縦紐が(笑)。

 今日も今日とて、目一杯引っ張りあげると……


 ―― あはあああんんっ♡、ご主人さまあ……い、いっ○ゃうううんっ♡♡♡


 慌てて貴澄の口元を押さえたのだった。

「あはあ、はあ、はあ……ご、ご主人さまあ、今日もいっ○ゃいましたあ♡」

 いや、だから、『ご主人さま』って、何だよっ!?


「今日のおぱんつもお捧げしますので、ご主人さまに脱がせて戴いても宜しいでしょうか?」


 こいつ、ヤバくね?

 ―― 闇堕ち?

 ―― ヤンデレ?

 ―― メンヘラ?


 花楓かえでの親友だが、ちょっと距離を置きたいぞっ!?



 俺は貴澄を振り切り生徒会室に急いだ。


 実は今朝、自宅(いや、スタジオだが)を出掛けに、三代目担当編集者の一之江いちのえ 一縷いちる女史からLINEがきたのだ。

 女史の娘にして、当学園の生徒会長である学園美少女トップ3の内(誰が1位かは明言を避けたい)、一之江いちのえ いたるに詳細を伝えてあるので、現在進行中の仕事に就いて昼休みに打ち合わせをするように……との指示だった。

 まあ、一縷女史はだからな、仕方ないか。

 起き抜けにブラを着けながら娘に用件を伝える女史の姿が目に浮かぶぞ(笑)。


「あ、、ごきげんようでございます♡」


 しかし、生徒会室の前で二人称で呼び止めてきたのは、生徒会副会長の桃城とうじょう 董乃とうのだ。

「いや、旦那さまって、何だよ?」


「はて?……濃厚な、べろちゅー、も済ませましたし……おっぱいも、たっぷり、揉んで戴きましたし……もう、『旦那さま』で宜しいのでは?」


 俺は慌てて周囲に人が居ないか見廻した。

 こんなコトを真顔で言ってくるも、危ないよなっ!?


「因みに会長は使ですが、わたくしは真っ更なですので、K先輩で【ご卒業】なされましたら、ご存分にお使い戴きたく…♡」


 ダメだ、もう手遅れかも知れないっ!?


 そして、開けた生徒会室の床には……

 ―― 会長のいたるが【全裸土下座】していたっ!?


 おいっ!?


 どうして俺の周りに居る女子はばっかなんだ?

 全員『美少女』なのにぃ!?

 残念で、ポンコツで、お莫迦で、しかも天然とか……どうしろとぅ!?


「まずは立って、理由から、話したら?」


「これは、先日あたしが先走ってしまったコトへの『お仕置き』です」

「まあ、それは取り敢えず済んだコトなので、立ちましょう」


「いえ、ここからが本題 ―― 母上からの伝言です……少し長くなりますので坐って聞いてください…」

 そう言われて俺がソファーに坐ると、董乃が当然のように隣に、ぴとっ、とくっついて坐った(と言うか、学生が管理する部屋に、何故、豪華なソファーがあるのか?)。

 まあ、話を聞こう。



「う、おほん…では、参ります……

 キメラ先生の今回の30ページの新作に少々提言があります。

 編集長もOKをだした事でもあり、わたしもその線で進めるつもりだったのですが…


 何かもう一つ、二人がただれたラヴにのめり込む切っ掛けが欲しいと思ったのです。

 冒頭で不良に絡まれていたボッチな少女を助けた……だけでは、導入としては些か弱い…

 もっと、センシティブでキャッチーな何かが欲しい…


 で、思い付いたのが、【全裸土下座】なのでした。


 既にご提出戴いたカラー扉の、恥ずかしそうにスカートをたくしあげるヒロインの絵も、ぐっ、とくるものはございますが……

 これはいずれ二冊目の単行本に使わせて戴く事として、

 新たに【全裸土下座】して悔しそうに正面から(つまり、読者を)睨みあげるヒロインと、そこに続く二ページ(増ページは編集長了解済みです)を追加して戴きたいのです。


 それで、折角なので【仕置き中】の我が娘の【全裸土下座】を、じっくり、観察して戴き追加二ページの構想を立ててください。

 今日の午後は『その部屋に居る限り』出席扱いになるよう手配済みです。


 まあ、可憐さんの裸で描くなら、それは土曜日に、じっくり、やって戴いけば良いので、今日は娘の裸でストーリーを練りあげてください。


 追伸 ――

 確かに可憐さんの裸体は素晴らしい……しかし、お尻のラインはウチの娘にも見るべきモノがあると思います。

 午後一杯、好きに弄って構いませんので、センシティブでキャッチーな話を構築してください。


 以上になります、それでは宜しくお願いいたします♡」



 一縷女史の『伝言』を伝え終えた洸が、ふーっ、と大きく息を吐いた。

「それじゃあ、旦那さまあ……魅惑のお尻を観察しましょうね♡」


 ―― おいっ!?


 いや、君は授業でなくて良いの?

 俺のうちなるツッコミを完スルーして董乃が腕を絡ませて立ちあがる。

 更に、俺を引っ張りながら洸の尻方面に向かった。


「確かにぃこの、むっち、むち、感はわたくしやかy、いえ、K先輩には無いですね♡」


 あくまで『K先輩』で押し通すのね(笑)。ま、良いけど。


「ねえ、旦那さま……お尻の谷間を覗くならあ、わたくしが拡げましょうかあ?」


 流石に洸の尻肉が、びくっ、と震えた。

「君は面白がってるだけでしょ?」

「はいですぅ♡」

 ―― こ、こら、こら、こら!

 ちょっと影になっているので、見えていないけど、かなり危ない角度なんだから(笑)。


 ―― 確かに、扉ページのカラーは一縷女史の言うように、土下座させられた正面から見あげての睨みは絵になる。

 となれば、次のページにお尻からの絵はキャッチーだろう。

 しかも、いきなりエロいがアップでくれば読者受けも良さそうだ。

 そして、俺がイメトレに夢中で視線をにロックしたままだったのを董乃にすっぱ抜かれたのだった。


「会長ってば、もしかして……旦那さまに、じっくり、見られて感じちゃいましたあ?」


「ば、ばか、ばか、ばか~っ!?……こ、は違うからっ!?」

 見事に洸が自爆した瞬間だった!



            【つづく】

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