第三十三話 ま、まだ、『お付き合い』も始まってないのにぃ!?……なんで、『浮気』の心配なんか、しなくちゃいけないのよぉ!?
昨日だって、お仕事だって言ってたけどぉ?
なんか、ぜったいにぃ、あやしかった……んだからあっ!?
〝きすみん〟でしょ、〝氷姫〟でしょ、〝おっぱいっ
ま、まだ、『お付き合い』も始まってないのにぃ!?……なんで、『浮気』の心配なんか、しなくちゃいけないのよぉ!?
『漫研』の扉の外まで洩れ聞こえてくる
そして、覚悟を決めた(諦めがついた、とも言う)俺が『漫研』の部室の扉を開くと……
慌てて(作り)笑いを浮かべて視線を泳がす花楓だった。
「今日も遅れてゴメン」
「だ、大丈夫よぉ……わ、わたしも来たばっかだから…」
もぅ、こういうトコ、マジで可愛いしかないんだけど♡
しかし、お弁当の三段お重の蓋に手を掛けると ――
「ねえ……さ、先に、ちゅー、してっ♡」
「はいぃ!?……い、今から、でしゅかあっ!?」
戸惑う俺に構わず花楓が目を瞑り〝キス待ち顔〟で迫ってくる(因みに席は隣り合ったトコにあらかじめ花楓がセッティングしてある(笑))。
―― も、勿論、嫌じゃないしぃ……
こ、これも昨日の〝
覚悟を決めて(何度目だ(笑))顔を近づけ……いや、その前に周りを確認する俺に花楓のツッコミが入る。
―― 誰も居ないから、さっさと、スルのぉ♡
いや、目を瞑ってるよね?
俺が再度覚悟を決めて(だから何度目だ(笑))花楓の桜の花びらのような小さな唇に、ちゅっ、と啄むようなキスをしたのだった、が……
―― もっと、がっつり、コンか~~~いっ!?
えっと、何処から声があああああっ!?
しかも、俺の顎を右手で、後頭部を左手で固定したイケメンなポーズで花楓の唇が押しつけられ小さな舌も、ひら、ひら、と
これって、スタジオのレッスンで俺が最初にした(あのエアキス仕込みの)ポーズだよな?
―― あむぅ、はむんっ…(れる、えろ、るろぅ)…(ちゅろ、ちゅる、ちゅぷ)…んぅ、あふっ…(にゅぷ、にちゅ、にゅぽっ)…ぅん、くっ…は、あふぅ♡
じょ、上手にお成り遊ばされましたご様子で恐悦至極に存じまするうっ♡
無事(?)禊も済み、お重の蓋をとると、中央に巨大なハンバーグが……
まあ、俺の大好物だが(花楓に話したコトあったかなあ?)……しかし、それにしてもデカイ(笑)。
いつもの三段お重の一段目を占拠(笑)するサイズに圧倒される俺に花楓が箸で一口サイズに切り分けたソレを口元にぃ!?
ちょ、待てぇ~~~ぃ!?
……こ、これって、『はい、あ~ん♡』とかいうカップルご
しかも ――
「はい、あ~んっ♡♡♡」
まんまの科白、戴きました(笑)。
俺が覚悟を決めて(いや、だから何度目だっ(笑))その一口サイズのハンバーグを、パクっ、とするとお約束の箸をカチっイベントまでクリアしたのでございますうっ(笑)。
「お味は、どう?……このソース、頑張ってみたんだけどぉ?」
「うん、スッゲー美味しいっ♡……味もお袋が作ってくれる味に……いや、もっと、ずっと美味しいよぅ♡」
その言葉に花楓が『漫研』のくたびれた机の下でガッツポーズをした……ような?
そのまま、差しだされる一口サイズのハンバーグを(美味しいので)完食しそうな勢いで食べて……最後の一切れになった時 ――
花楓が箸を逆向きにして俺に差しだしたんだがあっ!?
ま、まさか……お、俺にも『はい、あ~ん♡』を……し、しろ、とおおおっ!?
しかも、目を瞑った花楓が口を軽く開けて俺に迫ってくるんだがあっ!?
小さな桜色の舌先が、催促するように、ちろ、ちろ、揺れてるんだがあっ!?
―― 意識が別次元に飛んだ俺は、その超絶高難度イベントを無事クリアできたのか、記憶にございませんです、はいっ!?
それから二段目のお重を二人で食べて(箸は二人分になりました(笑))、三段目に移る頃にはお互いお腹が膨れて(まあ、毎回のコトですが)……そのちらし寿司は今日も残りそうだ。
「ゴメンね、いつも残してしまって…」
そんな俺に花楓が笑顔で答える。
「ぜんっぜん、大丈夫だから……残っても……う、ウチの犬が食べてくれるから…(本当はお皿に綺麗に盛り付け直してお父さまにだすと、美味しそうに片付けてくれるんだけどぉ(笑))」
「でも、こんなカロリーの高そうな料理食べてたら、そのワンちゃん、メタボが心配だなあ(笑)」
「そう言えば、最近お腹がでてきたような……でも、貫禄がついて良いかもぉ(笑)」
まあ、そんなこんなでいつもの三段お重を褒め捲ってどうにか花楓の機嫌を取り戻した俺は、最後のシメにキスをしようとしたのだが……がっつり、拒否られました。
メインのハンバーグのガーリック(にんにく)ソースが原因でありました……ベン、ベンっ!(ガクっ!)(笑)。
だから先にキスさせたのね(笑)。
しかし、そこそこには、機嫌が直ったようで、ほっと、したのだった。
*
翌日の昼休み ――
俺はまた、階段下の暗がりに連れ込まれたのだった。
こんなコトをするのは、花楓の親友にして97センチHカップの〝きすみん〟こと
「こ、こんどは……ど、どんな、ご用件でございます、ですか?」
「あ・れ・か・らぁ……毎日、ティバック穿いて来てるのにぃ、ご主人さまったら、ぜんっぜん、構ってくださらないんだものぅ♡」
俺に、ぴとっ、と貼り付いて……主に下腹部を、概ね下腹部を、ぐり、ぐりゅ、と押し付けてくる貴澄がヤバ過ぎるんだがっ!?
しかも、唇を突きだして……そ、しょの、キス待ち顔、止めて、貰って、良いで、しょう、かねぇ!?
仕方なく(?)俺は左手で貴澄の唇をガードしつつ、右手をビッチ仕様のギり裾から差し込んだ。
巨乳とは裏腹に控えめな柔尻を
今日も今日とて、目一杯引っ張りあげると……
―― あはあああんんっ♡、ご主人さまあ……い、いっ○ゃうううんっ♡♡♡
慌てて貴澄の口元を押さえたのだった。
【つづく】
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