第九話 わ、わた、わた、わたし、わたしはヴァーじ………………にゃ、にゃんでもにゃい…むにゃ、むにゃ、はふぅ!?
「可憐は、どうなの?」
「どう、って?」
「だから、彼氏とエッチする時、とか?」
「か、かかか、彼氏とか、居ないきゃらあっ!?」
「えっとぅ!?」
(……つまり、今は居ない、というコトだな?)
俺は、今更だが、確認してみた。
「可憐って、当然エッチの経験あるよね?」
「にゃ、にゃんてコト訊きやがり、ましゅかっ!?」
可憐って、興奮すると言葉遣いが汚なくなるよな。男子に退かれないと良いんだが(笑)。
あ、俺は平気だけど……何なら、ウエルカムだしぃ(笑)。
いや、可愛いしかないしぃ♡
……と、可憐は立ちあがって大声で叫んでいた。
「わ、わた、わた、わたし、わたしはヴァーじ………………」
しかし、一瞬、固まった可憐が何やら口の中で、もご、もご、と(笑)。
「……にゃ、にゃんでもにゃい……むにゃ、むにゃ、はふぅ!?」
(な、何と可憐はヴァージンだったのか?)
「えっ!?……それなのにヌードモデルを受けてくれたの?」
可憐があからさまに視線を逸らす。
「えっと……?」
俺は、可憐が逸らした視線の先に顔を入れ込む。
「だ、だってぇ……」
あまり追及されたくないようだ(笑)。
(つまり、あれか?……)
「お手当……か?」
「だだ、だ、だってぇ……」
「まあ、大事だよね……『女神の純白ドレス』も欲しいしぃ(笑)」
俺の指摘に可憐はソファーテーブルを乗り越えて、ぽか、ぽか、攻撃を仕掛けてきた。
「莫迦、馬鹿、ばか~っ!?……も、モブのえっち、すけべ、変態、死んじゃえぇええっ!?」
いや、可愛いしかないんだが(笑)。
痛い訳じゃなかったのだが、ぽか、ぽか、してくる可憐の両腕を掴んだら、顔が目の前だった。
(ち、近い……んだ、けどぅ!?)
何やら口の中で呟いた可憐が目を瞑った。
―― いや、何故だ!?
俺は、その体制で(可憐のキス待ち顔の前で)暫く固まってしまった。
―― 数瞬の後。
「さて、お仕事しますか?」
可憐の手を離して立ちあがった俺を、何故か、可憐が睨んでくるんだが?
いや、何故だっ!?
「えっと、今穿いてるパンツは
俺はオヤツの間PCデスクに避難させて置いた白の紐パンを持ってソファーに戻ると、可憐がケーキの箱を見ていた。
因みに俺が一つ、可憐が二つ食べたので、三つ残っている。
「欲しいなら持って帰って良いぞ?」
「えっ、良いの?」
嬉しそうだ。
「その前にお仕事だよ(笑)」
「は~い♡」
返事まで良いんでやんの(笑)。
「じゃあ、今穿いてるパンツをこっちに穿き替えて」
俺がそう言って白の紐パンを渡すと可憐が何やら、もじ、もじ、している。
「あ、あの……今穿いてるの……えっと、洗って返すのでも、良い?」
「いや、そのまま返してくれれば良いぞ?」
そう返事をすると、何故か怒ったように可憐が言った。
「わた、わたしが良くないのぉ!」
―― はて?
暫く考えて、漸く理解した(多分)。
「シミとか、気にしな…………」
流石に俺も失言に気付いて口を噤んだのだが……遅かったね。
今日一番の、ぽか、ぽか、攻撃が遣ってきた。
「変態、へんたい、ヘンタイぃ!?……死ね、死んで、死んじゃえぇえええええっ!?」
〝死ね三段活用〟でした。更に、ぽか、ぽか、攻撃ならぬ、グーパンチでした(笑)。
「わ、悪かった……今のは俺が全面的に悪かった!……お、お詫びに今日穿いたパンツは全部差しあげます!」
「えっ?……いや、こんな変態ぱんつ貰って、どうしろと?」
「か、彼氏ができたら穿いてあげたら喜ばれる、かとお?」
「無いからっ⁉」
速攻で拒否られました。
それでもソファーに置いてあったこ洒落たブルーのポーチと白の紐パンを掴んで紙袋のトコに行き、変態ぱんつを脱いでしっかり紙袋に入れました……とさ(笑)。
「さて、次のシーンだけど…」
俺がネームを呼びだして確認しているとパンツを穿き替えた可憐が戻ってきて画面を覗き込んだ。
「なに、これ?」
まあ、普通の人はネームを見てもイタズラ書きにしか見えないか。
「今からこのシーンをスケッチしたい……いや、もうあまり時間がないし、次々写真撮っていった方が良いかな?」
可憐を見て確認する。
「良いよ」
「じゃあ、このポーズをしてくれる?」
「えっと、ドコが女の子?」
二人の絡みだというのは判ったようだが、自分の取るポーズが判らないようだ。
「じゃあ、こっち来て…」
三人掛けのソファーを示して、
「仰向けに寝て膝を立てて…ちょっと触るよ…」
指示通りに寝た可憐の両の膝裏に手を宛がって、
「よっと!」
俺は可憐を【マン●り返し】たの、だ、が……
「きゃあ、きゃあ、きゃあっ!?……バカ、スケベ、ヘンタイ、死ね~~~っ!?」
最初から、グーパンチが飛んできた。
まあ、俺も慣れてきたので、掌で受け止めたけどぅ(笑)。
しかし、ここはご主人さまとして(違った、雇い主として)言うべきだろう。
「可憐ちゃん、これがお仕事だって判ってるよね?」
「ひゃい……」
「君は、エロマンガ家のヌードデッサンの為のモデルとして、ここに、来ている……ここまで間違いはある?」
「あ、ありません」
俺は、腕時計を見て続けた。
「今、丁度半分くらいだから、これ以上無理だと思うなら、十五万返してくれれば、帰って良いよ……あ、返すのは明日でも良いから…」
「無理」
可憐が、ぼそっ、と言った。
「えっ?…まさか、もう使い切った、とか……」
俺の言葉に可憐は視線を逸らせていたのだが。
【つづく】
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