第八話 ね、ねえモブちぃ…お、お腹の辺りに硬いモノ、が……ひゃい!?…な、なな、にゃんでも、ニャいかりゃ!?

「それより、○クビ、たってない?」

「にゃ、にゃんてコチョ…い、言いやがりまシュかっ!?」

 またも、両手で胸を隠した可憐が盛大に舌を縺れさせて睨んでくる。


「モブちって、見掛けによらず結構えっちだよね……そういうの、、って言うんでしょ?」


「わ、わ、悪かったなあっ⁉……ど、どうせ俺は『モブ』で『ボッチ』で『チキン』で『ムッツリ』だよっ⁉」


「そ、そ、そこまでは言ってない……けどぉ…」

 可憐が微妙に視線を逸らせた。

 はい、思ってましたね(笑)。良いけどね。


「モブってさあ……きすみんみたいなおっきいおっぱいが好きなの?」

 え、まだその話題続けるの?

 お仕事は?


「いや、俺的には可憐くらいの、ぷるるん、オッパイが好きだぞ♡……鬼崎きざきだと大き過ぎるって言うか……」


 俺は仕事に戻りたいので、ここは可憐をしておく。

 いや、本音でもあるが……本人を前に言うと、ハズい、ものがあるな(笑)。

「そ、そう…なんだ……え、えへへぇ♡」

 嬉しそうで何よりです(笑)。

 チョロいん確定だな(笑)。


「お、お仕事……続ける?」

 思い出して戴き、恐悦至極でごじゃりまするぅ(笑)。

 しかし、可憐がスツールに坐り直した時だった。踵が外れた可憐が俺に向かってきた。

「危ないっ!?」

 咄嗟に両腕で可憐を抱き止めていた。


 ヤバい!?

   柔らかい!?

     良い匂いがする♡


 俺の両腕は可憐の背中に廻され、がっつり、抱き締めている。

 可憐の両腕も俺の首に廻され、がっつり、抱きついている。

 しかも、俺に向かって倒れ込んだ状況なので、がっつり、体重が掛かっている。


 なので、88センチFカップが俺の胸板でひしゃげている。更に、仕事着のスエット越しにがくっきりと判るのだがっ!?


「ね、ねえモブちぃ……お、お腹の辺りに硬いモノ、が…………ひゃい!?…な、なな、にゃんでも、ニャいかりゃ!?」


 可憐の頬が、ぼんっ、と音がするほど真っ赤になった。

 ま、まあ、俺だって『ポッチ』が判るように、可憐にも『確認』が可能だったというコトだ(笑)。


「と、取り敢えず……立とうか?」

 俺は『硬いモノ』発言をスルーして、先ずは離れるコトに注力した。

「えっと……た、立つから…さ、支えて、くれる?」

 爪先立っている可憐の肩を支える。

「わ、わた、わたしぃ……あ、足…痺れて……わヒャあぅ!?」

 可憐がまた倒れ込んできた。


「「ったーぁ!?」」


 可憐と俺のおデコが、ごっつんこだ(笑)。

 い、いや、いや、いや、おデコだけじゃ、にゃいぞっ!?


 こ、この、柔らかくて濡れた感触はぁうヒャいっ!?


「ちょ、まっ……(ちゅぴっ!?)」


 ん!?……ちゅぴ?……喋ろうとした俺の唇に、少しザラついた小さな暖かい感触が……ふ、触れてりゅんじゃがぁ!?


 こ、このまま吸いつきたいぞ……い、いや、いや、いや…落ち着け、俺っ!?

 俺は必死に理性を取り繕い… じゃなくてだな、取り戻し……そう、それ…理性を取り戻した俺は、可憐と俺のしているおデコの間に手を入れて離すコトに成功した。


 距離ゼロで映像を結んで居なかった可憐の顔が見えてくる。

 真っ赤になって半泣きの可憐の顔は、それでも綺麗だった。


「わ、わた、わたしぃ……は、初めて…なの…にぃ……」

(いや、いや、いや、俺だって初めてなんだけどぅ!)

 俺は必死に声を絞りだした。


「こ、これは、事故だ……だ、だから、ノーカン…ノーカウントだ……い、良いよ、な?」


(な、なによぉ……わたしと、ちゅー、したのを無かったコトにしたいのぉ?)


 いや、心の声が駄々洩れているんですが?

 学園一の美少女が俺如きと、ちゅー、したのを記憶のメモリーに保存して大丈夫なんですかね?

 勿論、俺は永久保存ですが(笑)。



「と、取り敢えず……き、休憩、しようか……確か、沙耶香女史がオヤツを買ってある筈…」


 俺は冷蔵庫を開けてケーキの箱を取りだした。

「じ、じゃあ、わたし…お、お茶淹れる、ね?」

「そ、そう?…なら、その奥がキッチンだから…」

「わ、判った…」

 二人とも微妙にぎこちない(笑)。


 そして、淹れた紅茶をトレーに載せて戻った可憐が黄色い声をあげた。


「『ぷるぷる~ん』の『カリカリバニラシュークリーム』じゃないっ♡……これって、並ばないと買えないんじゃなかった?」


「そ、そうなの?」

「あっ、モブちが知ってる訳ないか(笑)」

「し、失礼なっ!」

「どうせあの美人の編集さんが買って来たんでしょ?」

「ま、まあ、そうだけど…」


「うん、美味しい♡」

 早速頬張った可憐を見ると、ちゃっかりブラウスを着ていた。

 また脱がすの、骨が折れそう(笑)。


 ……って言うか可憐が、ちら、ちら、俺の股間に視線を寄越すんだが。

 ここは、話題を変えるトコか。


「可憐って、家ではブラとかしてるの?」


「い、いきなりねっ!?」

「いや、今回のマンガのヒロインがさあ、彼氏の部屋ではノーブラなんだが……不自然じゃないかな、と?」

「ふ、ふ~ん、作者と一緒でなのね!」

「言い方~~~」

「そうね、お風呂あがりとかは着けない…かな?」

「な、成る程…」

「でも、彼氏の部屋で……って、変よ!」

「そ、そうかな?……でも、いつも彼氏の部屋でエッチするんだし…」

「………………」

「可憐は、どうなの?」

「どう、って?」

「だから、彼氏とエッチする時、とか?」


「か、かかか、彼氏とか、居ないきゃらあっ!?」



            【つづく】

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