第十話 なんで、センセはそんなにぱんつに詳しいのさあ? ホントは助平なだけじゃ、ないのぉ?

「無理」


 可憐が、ぼそっ、と言った。

「えっ?…まさか、もう使い切った、とか……」

 俺の言葉に可憐は視線を逸らせていたのだが。


 いや、ヤバくね?

 あまり興味がなかったので『あかつきのエスペヒスモ』のガチャが一回幾らか知らないが、100円として………………な、何回廻したんだよっ(笑)。


 それって、ってヤツじゃないのか?

 う~む、この学園一の美少女を救うコトはできるのか?


 ………………ま、取り敢えず『お仕事』だな(笑)。


「それじゃあ、『お仕事』を続ける、というコトで良いかな?」

「は、はい、お願いします」

「可憐ちゃん、笑顔だよ、スマイル、スマイルOK?」


「に、にかっ!」


 いや、言葉だけで笑ってないんだが(笑)。

 まあ、今回の『お仕事』に含まれていなかった、かな?


「それじゃあ、さっきのポーズから続けるよ、良いね?」

「は、はい、大丈夫です…」

 と、言いつつ膝を立てた辺りで止まっている。

 俺はポケットからペンタブをだしてそれで指示をだす。

「ここと、ここに外側から手を宛がって…」

 両方の腿裏にペンタブで指示したトコロに可憐の手が添えられた。


「そのまま左右に、がばあっ、とお股を拡げよう!」


「ひぃ!?」

 泣きそうな声が洩れたが、可憐は(笑)。

 俺は曝けだされた可憐の股間を、紐パンを、隈なく確認した。


「うん、大丈夫…見られては食みだしてないよっ!」


「ひぃ!?……せ、センセ…か、顔が…ち、近い、んですがっ!?」

「おっと、失礼……カメラの出番だったね!」


 パシャ、パシャ、パシャ!?

 パシャ、パシャ、パシャ!?


「ひぃいいっ!?」

 俺が至近距離から連写すると可憐の咽から悲鳴が洩れた。


「良いね、良いね……次は左足をソファーの背もたれに掛けて、右足は床に垂らして……あと、オッパイを強調するように両腕を上に伸ばして……彼氏を誘うようなコケティッシュな表情でっ♡」


「こけ、こけ…なに?」

「コケティッシュ……色っぽい、艶かしい、思わせ振り……」

「む、無理っ!?」

「まあ、顔まで可憐ちゃんに似せたらしちゃうか(笑)」


「わ、笑えないんですがあっ!?」


「だよねぇ(笑)……可憐ちゃん、と言うより花楓かえでちゃん……あ、ゴメン片桐かたぎりさんがしたら大問題だったね(笑)」

「か、花楓で良いけどぉ…」

「え、そう?……でも、教室で花楓ちゃんって呼びそうだから、止めとくよ(笑)」

 そう言うと、彼女は何やら残念そうだった。はて?



 それからポーズを変えて何カットか撮ってから、俺は言った。

「折角用意したし、紫の紐パンも穿こうか」

 それを受けとった可憐が視線を泳がせて言ってくる。

「モブち、じゃない、センセ……こ、これ…す、透けてるんだけどぉ?」

「いや、大丈夫…」

 俺は紫透け紐パンを手にとって拡げて見せた。


「ほら、透けてるのは前とお尻だけで、はクロッチ布で守られているからね」


 パンツの中を覗き込んだ可憐が微妙な顔をした。

「なんで、センセはそんなにぱんつに詳しいのさあ?」

「ま、まあ、職業柄?」

「ホントは助平なだけじゃ、ないのぉ?」

「し、失礼なっ!?」



 ……なので、俺は、透けパンに穿き替えてきた可憐に厳しく(笑)指示をだした。

「このシーンは、ソファーの背もたれに両手をついて後ろ向きにお尻を突きだして……彼氏は背後から色々弄りながら振り向かせたヒロインの唇を奪って弄ぶ……てな感じかな?」


 実際やってみると、可憐は(いや、ヒロインは)ブラはしていないが、ブラウスを羽織っているのでお尻もパンツも隠れている。

「不自然にならないようにブラウスをたくしあげてみて……うん、良い感じだ…」


 パシャ、パシャ、パシャ!?


「お尻をもう少し突きだす感じで……良いね、良いね♡」


 パシャ、パシャ、パシャ!?


「じゃあ、最後に、キスされるトコ……振り向いてくれる?」

「彼氏はどっちから来るんですか?」

「ええと……左手で胸を、右手でお尻を弄りながら覆い被さる感じで……右の肩口から、かな?」

 可憐が振り返って見せるが、少し不自然か?

「体制的に、無理っぽいかな?」


「センセが彼氏役をやってみれば?」


「えっ?……い、いや、いや、触ったらスタンガンだろ……その手には乗らないからね、危ない、アブない(笑)」


「ぷっ!……考え過ぎだよぉ!」


「そ、そう、なの?」

「うん、おっぱい揉んだらスタンガンだけどぉ(笑)……肩に触れたくらいなら、良いにしとく(笑)」

 『良いにしとく』って言い方が微妙なんですが~~!?

 取り敢えず、やってみるかな?


 俺は片足をソファーに掛けて可憐に(いや、ヒロインに)覆い被さるようにした。

「これで、左手を肩に宛がって……」

 俺はわざと行動を声にだして続ける。

「…ヒロインの右の肩口から顎に右手を添えて振り向かせて……く、唇を…」


 ……って、

(な、何で目を瞑って唇を突きだしてるんだよぅ!?)

 しかも、可憐が挑発するように言ってくる。


、だけどぉ……実際、ちゅー、できるか殴らないわよぉ♡」


(いや、いや、いや、何か…う、がある…んじゃない、のか?)


 俺は、息が掛かるくらいの距離まで唇を寄せたトコロで言った。

「う、うん、だ…大丈夫…だ、な……お、お~けい、だね」

 そして、ソファーから降りた俺に可憐の呟く声が聞こえた。


「ヘタレっ!?」



            【つづく】

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