第十三話 莫迦、馬鹿、ばか~っ!?……も、モブちぃのバカ~っ!?……死ね、死んで、死んじゃえぇえええええっ!?
翌日の日曜日、俺は遮二無二頑張ったっ!
扉ページのカラーラフ(指定)を完成原稿に近いトコロまで仕上げたのだ。
まあ、ラフの段階で色々指示やクレームが入るのだが、デジタル原稿なので変更は難しくない。
それを
ぐったりとベッドに倒れ込んだ俺は、そこに投げだしたままだったスマホが、チカ、チカ、点滅しているのに気がついた。
その画面を見た俺は、すぅ――――っ、と血の気が引く音を聞いたのだった。
*
明けて月曜日 ――
朝まだ早い時間に教室に入った俺は、隣の席で机に突っ伏したまま、どよ~~~ん、と負のオーラを垂れ流す見知った同級生を発見したのだった。
理由は、実は良く知っている。
いや、多分だが思い当たるフシがあった。
俺は自分の机の横に背負いバッグを掛けて椅子に坐ると
「おはよう、モブちぃ」
すっかり『モブちぃ』が定着してしまった。
今更だが俺には、
その花楓まで一昨日の嵐のような撮影を通して『モブちぃ』が定着していたのだった。
「おはよう、
俺の挨拶を聞いた花楓が机に突っ伏したまま、ちろん、と睨んでくるんだが。
可愛いのでそういうの止めて貰って良いですかね(笑)。
更に、唇が何かを言うように動いた。
多分だが、『花楓と呼べ』と言っているような気がする。
「げ、元気……無いです、ね?」
言わずもがなだったが、声を掛けてしまった。
「…………が、でちゃったのぉ」
全部の言葉が聞こえた訳では無かったが、予想通りだった。
「げ、元気だしてよ……たかがアイテムじゃない…」
いや、言ってから、言ってはならない発言だったと気づいたが、後の祭りとはこのコトだ。
顔を机に伏せたまま、ぎろん、と睨まれました。
(まさかとは思うけど……テーブルに立ったという封筒の中身、使い切ってはいないでしょうね?)
俺は昨夜、スマホに表示されていたアイテムゲットのお知らせを見てから、朝まで掛けてアイテム譲渡の方法を調べたのだった。
そして、見つけた。
いや、当たり前過ぎて気がつかなかった方法だ。
……と、言うより
なので、俺は花楓にそれを譲るべく、俺のスマホ画面を見せた。
「うん、可愛いよね♡……欲しかったなあ……誰かが一昨日三枚目を引いちゃったのよねぇ……」
そう言いながら顔を俺のスマホに近づけた花楓の表情が固まった。
「ま、まさか……それ、モブちぃのアイテム画面?」
「えっと……一昨日遊びで一回廻したら……出ちゃった(笑)」
でも、譲る方法があるから……と、言おうとした俺の首根っこを掴んで花楓が大声をあげていた。
「莫迦、馬鹿、ばか~っ!?……も、モブちぃのバカ~っ!?……死ね、死んで、死んじゃえぇえええええっ!?」
本日も〝死ね三段活用〟戴きました。
まだ教室に人は少なかったが、全員の注目を集めていた。
クラスメイトたちは学園一の美少女である花楓がこんな声をだすトコなど想像できなかっただろう。
しかも、ややこしい人が……
「あらあっ?……あなたたち、いつの間にそんなに仲良くなったのぅ?」
振り返って確認するまでもなく、花楓の親友にして97センチHカップの〝きすみん〟こと
「「いや、べ、別に、わたしたち(俺たち)仲良いとか、そういうのじゃないから…」」
異口同音に否定した俺たちに貴澄の、ジト目、が返ってきた。
「やだあ息まで、ぴったり、じゃなあい?」
視線を逸らす俺たちの背後に立った貴澄が(いや、俺の後ろが彼女の席だが)愉しそうな声をだした。
「さあて、どっちに白状させようかしらあ?」
そして、予想通り俺の首に両腕を廻してきたのだった。
俺の背中で97センチHカップが、むにょん、と潰れた。
今は時期的にブレザー着用の季節なのだが、わざ、わざ、ボタンを外してブラウス越しに、そのたわわなオッパイを押しつけてきたのだ。
悪趣味なヤツだ。
この後ホームルームなので立って全員で『礼』をしなければならない。
俺が前屈みになるのを知っていて(今までも何度もやられた)愉しんでいるのだ。
なのに……
「見ろよ、またモブが良い思いしてやがる!」
「モブの癖に許せねえっ!」
「俺たちの至高のオッパイを弄びやがって!」
いや、幾つか間違ってるぞ。
『お前たちの』オッパイじゃないから!
俺は『良い思い』なんぞしていない!
デカけりゃ良いと思っているお前たちに花楓のオッパイを拝ませてやりたいぞっ!
いや、絶体拝ませないけどな(笑)。
その花楓を、ちら、見ると睨まれました。
何故だ?
「いちゃ、いちゃ、しちゃってぇ!?」
「は、はいぃ!?」
―― 誰と誰が、いちゃついてる、とぅ!?
そこへ貴澄まで、何やら問題発言をブチ込んできたのだが?
「さっさと白状おしっ!……どこでカエちぃと乳繰り合ったのさあっ?」
【つづく】
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