第十八話 つまりぃ、あたしがキメラ先生さまに、おっぱい見せる、というコトですか?
編集長が重々しく言った。
「こちらに
(な、なな、なんで……モブくん、じゃなくて
更に、少し遅れて入ってきたのは ――
「あーっ!?……なんでキメラ先生さまの真似っこ先輩がいるのよ~~っ!?」
おいっ!?
編集長は、遅れて入ってきた小柄でお下げ髪の美少女を、完璧にスルーして話し始めた。
「ひずポンくんは今の処はウエブ版の雑誌で頑張ってくれてるけど、いずれ紙版の『快楽T』でも描いて貰いたい作家さんです」
「ありがたいお言葉です、精進します」
「まあ、百合以外も描いて貰えるとね、良いんだけど……その意味からも今回キメラ先生の作画を見て参考にしてください……男の描き方、とかね(笑)」
「が、頑張ります!」
「ねえ、ホントに真似っこ先輩が、キメラ先生さま、なのぅ?」
マイペースな後輩に「あとにして」と囁いて、ひずポンこと
「それでは後はキメラ先生にお任せして、私は失礼します……ひずポンくんも頑張ってね」
編集長はマイペースな美少女を一睨みして帰って行ったのだった。
俺は二週連続の衝撃的出逢いに右脳がスパーク寸前だ(笑)。
しかも、今回はマイペースなオマケまで付いて来ている。
秀流が作家の『ひずポン』なら、(お互い色々と困惑やら何やらあるが)当初の予定通り作画の見学をして貰えば良い。
しかし、
秀流が廃部寸前の『我らの漫研』に勧誘したという後輩の
二人の間にはそれ以外の何かがありそうだが……
まあ、早いけど、ここは烏龍茶の出番かな(笑)。今日はケーキは無いけど(笑)。
俺は二人に三人掛けソファーを薦めて烏龍茶とグラス用意して席についた。
その間に二人で話していたようで一栞も幾分落ち着いたようだ。
「取り敢えず、少し話をしよう」
俺の提案に秀流も頷いた。
「何か色々ご迷惑をお掛けして…」
しかし、話の腰を折ってマイペース娘が割り込んでくる。
「つまりぃ、あたしがキメラ先生さまに、おっぱい見せる、というコトですか?」
「はいぃ!?」
全然落ち着いてねえ~~~っ!?
「ちょ、待ちなさいぃ!?」
秀流が一栞を押さえる。
「ええと……どこから話せば良いか…」
「あたしなら、平気っすよ♡……部室で見られてるしぃ(笑)」
「いや、背中しか見てねーから!」
「キメラ先生さまなら、おっぱいだけでなく、マン●り返しでもぅ、くぱあっ、でもぅ……ノープロブレムっすよ♡」
変われば変わるモノだ(笑)。
部室では嫌悪感を隠しもしなかったのに、この掌返しは何だかな~~(笑)。
取り敢えず『キメラ先生さま』は止めて欲しい、かな(笑)。
「ええと、今回……お、おっぱいの作画を見学させて戴くという話で、ですね…」
秀流が言い難そうに話を続ける。
「…と、当然、実物のおっぱいを見ながら作画するのが良いだろうと…」
「そこであたしの出番ですぅ♡」
ああ、そういう流れか……ん?……いや、待てよ……花楓の(いや、可憐の)写真を使う訳にはイカンだろう!
これは、一栞にお願いするのが良いだろう、な?
「き、キメラ先生には……と、当然……せ、専属の……も、も、モデルさんが、いらっしゃる、でしょうが……」
あ、これはもしかして花楓を想定しての言葉か?
逢引き(いや、内緒の会合)を見られてるしぃ(笑)。
「はえぇ⁉……もしかしてぇ、ひずポン先輩の知ってる人っすか?」
「知ってるも何も、学園一の……」
「あ、えっと、その話は…」
俺の制止を更に遮るマイペース娘がっ!
「はえぇ⁉……誰っすか?…あたしも知ってる人っすか?」
「い、一栞ちゃん、少し黙りなさい!」
秀流(いや、今回も差別化の為に、『ひずポン』と呼ぼう)が一栞を制したタイミングで俺の意見を伝えた。
「先ず、俺から幾つか良いか?」
二人が頷いたので話を続ける。
「お互いの呼び方だけど、学園との差別化の為にも『ひずポンくん』と呼ぼうと思う……んで、俺のコトは『キメラ』で…」
「はい、キメラ先生」
まあ、『先生』は仕方ないか。可憐も『センセ』と呼んでたしな。
「はいです、キメラ先生さま♡」
「だから『先生さま』は止めて!」
「えええっ!」
「一栞ちゃん…」
「むうぅ、判ったっす!」
「それで、彼女のコトは俺も『一栞ちゃん』でいいかな?」
「はいですぅ♡」
返事だけは良いんだけどなあ。
「次にオッパイの作画だけど……」
一栞が、ずいっ、と胸を突きだす。制服越しだが、大きい(笑)。
てか、何で二人とも制服で来てるのさ?
ここが【エロマンガ】関連の職場だという意識は無いの?
「95センチ、Hカップっす♡(ホントはGカップっすけどぅ)」
マイペース娘がマイペース発言を(笑)。
しかも、本音も駄々洩れていた。
「う、うん……オッパイの作画だけど、現在描いているトコの仕上げを見学して貰うのが良いのではと思っている」
「判りました」
「そこが終わったらあたしの、おっぱい、っすね♡」
「ま、まあ……時間があまれば…………かな?」
「い、一栞には部室でデッサンをさせて貰っていて……すぐ、脱ぎたがるのよ、この
何となくだが、二人の作業風景が目に浮かぶようだ(笑)。
「それで、
「まあ、それは時間次第かな?……何時くらいまで大丈夫なの?」
「明日の朝まで大丈夫っす♡」
いや、暗くなる前に帰れよ!
前途多難、とはこのコトか⁉
先行きに不安しかないんだが……
【つづく】
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