第十九話 でしょ、でしょ、Bカップって、男にとって……あとちょっと感がイイらしいっすよっ♡

「それで、お手伝いアシスタントは何をすれば?」

「まあ、それは時間次第かな?……何時くらいまで大丈夫なの?」

「明日の朝まで大丈夫っす♡」

 いや、暗くなる前に帰れよ!


 前途多難、とはこのコトか⁉

 先行きに不安しかないんだが……


「一応、どこまでお手伝いアシスタントができるか判りませんが……大判のタブレットも持って来ましたので…」


「え、でも、作画を見るのが目的だし……」

「あ、それなら、あたしが背景とかやりま~す!」

「そ、そうね、一栞いちかちゃんは室内とか、日常雑貨とか、結構上手なので…試しに描かせてください」

「お任せを~~♡」

 ずっと一人でやってきたので、背景の指示とかしているとプロのマンガ家みたいだ(笑)。

 いや、もうプロだけど(笑)。


 少し一栞の仕事を見て大丈夫そうだったので、俺はひずポンに見せる為に例の新作のオッパイがでてくるシーンの作画に入った。

 勿論、写真から作画するトコを見せる訳にはいかないので、下書きが済んでいる絵のペン入れだ。

 背後から他人に(それも同業者に)見られながらの作画は若干緊張したがすぐに没頭していった。

 俺の右脳、流石だぜ(笑)。

 そして暫くは、室内にペンタブの音だけが聞こえていたのだが……


「センセ、手鏡があったら貸して貰えますぅ?」

「え?、あるけど……何に使うの?」


「いえね、この彼女さんのの間がシロいままっすから、見ながら描こうかと……」


「ちょ、一栞ちゃん、お手伝いアシスタントは、背景だけで、人物には手をつけてはダメよっ!?」

「え?…ひずポン先輩はいつも…」

「あ、あれは同人誌だし……その、入稿に間に合わない時はお願いしたけど…」

「そうなんですね……センセ、失礼しました」

「いや、まあ……その辺は段々慣れてくれれば…」


「お詫びに、あたしを見てデッサンしてくださいっ♡」


「い、いや、パンツ脱ぐの止めなさいっ⁉」

「えええっ?」

「『えええっ?』じゃありませんっ!」

 もお、このはっ⁉


「一栞ちゃん、そういうのは、ちゃんと……み、見せてくれりゅ、モデル彼女さんが…い、居るんだから…」


 い、いや、いや、いや……ま、まだ、関係では、にゃいのでぇ……

 大声で否定できない自分が情けない。

 と、言うか、彼女でもないのでは?


「ああ、その後は、あの大きなダブルベッドで、組んず解れつ、にゃのですにょ♡」


「こ、こら、こら、こら……いつ寝室覗いたんだよっ!」

「おトイレお借りした時、なんの部屋かとぅ?」

 全く油断も隙もないだなあ。


 その後、また暫くは順調だったのだが……


「センセ、あたしのおっぱい、まだすかねえ?」

「まだですっ!」


「じゃあ、脱いで待ってますね♡」


「い、いや、いや、いや、着てなさいっ!?」

 秀流ひずるが(いや、ひずポンが)すぐ脱ぎたがるとか言ってたが……

 全く困ったマイペース娘だ。

 しかし、それならあの時(部室で)あげた悲鳴は何だったのだ?

 まあ、今更だけど(笑)。


「センセのおっぱいって、当たり前だけど静止画なのに、があるのが凄いと言うか、不思議と言うか……」

「そうなのよねえ、流石よねえ♡」


 背後から聞こえてきた声に振り向くと、困ったお嬢さんマイペース娘が、剥きだしのオッパイを両手で揉んでいた。


「こ、こら、こら、こら、オッパイを仕舞いなさいぃ!?」


「えええっ!?……折角んで、そのモデルさんにどんな風に指示してるのか、教えて欲しいっす♡」


「ああ、それはあたしも知りたい、かも」

 ひずポンまで期待の籠った目を向けてくる。

 仕方ないか(笑)。


 俺は部屋の隅から背の高いスツールを持ってきて作画デスクのそばに置いた。

「じゃあ、ここに坐っ……こ、こら、こら、こら、スカートとパンツは脱がなくて良いからっ!?」


「えええっ!?」


「『えええっ!?』じゃありませんっ!」

 全く油断も隙もあったモンじゃない!

「そしたら、万歳するように両腕をあげて上半身を、回転させてみて!」


 すると、95センチ(自称)Hカップ(実際はGカップ)が、ぷるるん、と揺れた。


「おおぅ♡……エっクセレントっ♡」


 俺はPCに新しい原稿箋を表示させてペンタブを走らせる。


「す、凄いっ!?」

 ひずポンのあげた感嘆の声に一栞も見たそうにした。

「こ、こら、動いたらダメだ!……もっかい揺らしてっ!」

「あたしも見たいっす……ひずポン先輩、交代してっす!」


「無理、むりよ、ムリだからっ!?」


 ひずポンが(いや、秀流が)制服の胸元を押さえる。


「大丈夫っす!……充分需要はあります、よね?…キメラセンセっ?」


 お、俺に振るんじゃない……と思ったが、身体が勝手に頷いていた。


「も、が見たい……なら…」

 『キメラ』でなく『モブ』と呼んで羞じらう秀流が可愛いしかない。

 真っ赤になってオッパイをだした秀流に違う指示をだす。

「秀流の場合は、両腕を後ろに廻して身体を揺らしてみて♡」


「おおぅ、83センチBカップのも棄てがたいっ♡」


「でしょ、でしょ、Bカップって、男にとって……感がイイらしいっすよっ♡」


「あ、あんまり褒められた感じがしないんだけどぅ!?……て、言うかぁ、なんでモブくんがあたしのサイズを知ってるのよっ!?」


 秀流の、ジト目、が痛いんですが?



           【つづく】

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