第二十二話 抵抗とは甘味なる誘惑である……とは、俺の裡なる箴言であるが(笑)。

「ねえ、モブちぃ?……今日はおっぱい触ってもぉ、したげるぅ♡」

「えっとぅ!?……ど、どしたんですかね?」

 その、『良いにしたげる』という表現が、微妙なんすけどぅ!?

「触りたく、ないのぉ?」

「さ、触りたく候う……だけど、スタンガン隠し持ってないですかね?」

「莫迦ね…な、い、わ、よぉ♡」


 そう言って可憐は制服のブレザーとブラウスの前を、がばあっ、とはだけて見せたのだった。


 そこには、ブラすらなく、あの見慣れた88センチFカップの、ぷるるん、オッパイが揺れておりまして……


 その揺れに誘われて、俺の手が……手が、ぷるるん、オッパイにぃ♡


「や、や、やわこいぃ!?」

「あんっ♡」

 その瞬間の可憐の鼻に抜ける声が、もう、ヤバいですぅ!?

「こ、ここ、この世のモノとは思えない柔こさで、ごじゃりますぅ♡」

「も、もぉ、莫迦ねっ(笑)」


「な、何故に、ご許可戴けたので、ごじゃりまするかっ!?」


「モブちぃ、喋り方が、変っ(笑)」


「いや、あの、あまりのに……こ、こころが、アッチの世界に、トリップを、ましたようで、でしゅねぇ!?」


「そんなんじゃ、良いまんがは描けないわよぉ!?」


「な、なんと…俺のエロマンガの為に、このオッパイを捧げてくだしゃりましたので、ごじゃりまするかっ!?」


「違いますぅ!?……ただのお小遣い稼ぎですぅ♡」


「も、何ですかね?……それは、絶滅危惧種のとかいふではないので、ありましゅまいでふ、かね?」


「だからあ、喋り方が、変だってばっ!?」


 そして、可憐が俺を三人掛けソファーに押し倒した。

「もうね、これしか元に戻せないんだからあっ♡」

 そう言って、可憐が俺の唇に口付けた。それは、まるで、眠り姫を起こす王子さまのようなソフトなキッスでっ!


 ―― 結果、


 正気に戻った俺は、下から両腕で可憐を抱き絞めて、背中やら、お尻やらをまさぐり、反転攻勢にでたのだった。

 いや、それ、正気に戻ったのかっ⁉


 更に、タイミング悪く、お尻を触った手がスカートの中に……

 いや、勿論、パンツは穿いてたけどぅ。


「あん、やん♡……も、モブちぃの、えっち、すけべぇ、へんたいぃ!?」


 ―― ……とは、俺のうちなる箴言しんげんであるが(笑)。


「やん♡…だ、だめぇ……お、お尻とか…ゆ、ゆりゅして、にゃいかりゃあっ!?」


 ヤバい、可憐のお尻も柔っこい♡

 つい、調子に乗った俺はスカートの中に忍び込ませた手指で狼藉をはたら…


「ほげぇ⁉、はぐぅっ⁉」


 顎に見事なグーパン戴きました。


「ゆ、許したのは…お、おっぱい、だけだから…………(今日はぁ)」


 何か、もご、もご、いう声は聞き取れなかったのだが、俺の上で可憐が視線を泳がせて訊いてきた。


「ね、モブちぃ……も、もしかして、おっきくなってるっ!?」


 俺の仕事着は基本スエットだ。

 だから、結構、が、丸判りで伝わってたりする。

「にゃんと、申しましゅかぁ……」


(もおぉ!?……だ、男子って、ホント、おっぱいとか、お尻とか、好きよね?……せ、折角、〝きすみん〟や所長(女性よ)から、ちゅー、の仕方を教わってきたっていうのにぃ!?)



 ―― や、ヤバい、ヤバいぃ!?……カタチを指摘された俺のアレが、ずもももももぅ、っと…の、伸びあがった、んだけどぅ!?

 ―― や、やあん、やあんっ♡……か、かったいのがお臍のあたりで、ずびびびびびぃ、って…の、伸びあがった、のよねえっ!?


 ―― も、もう…い、いくっきゃないのではあっ!?

 ―― も、もう…ゆ、ゆるしちゃってもいいのぉ!?



 その時 ――

 部屋に、ピンポン、が鳴り響いたのだった。


((た、助かったあああっ!?))




 バイク便のお兄さんから受け取った『ぷるぷる~ん』の『カリカリバニラシュークリーム』の箱をソファーテーブルに広げ、キッチンで淹れた紅茶をトレーに載せて戻った可憐とお茶賢者である。


 ―― ヤバかったなあ(笑)。

 情動に流されていたら今頃は……グーパンで生死の境を彷徨っていたのでは(笑)。

 ―― ヤバかったわあ(笑)。

 あのまま許してたら今頃は……け、経験済みのグループに入っていたのでは(笑)。


「ね、ねえ、モブちぃが好きな比々野ひびの 妃莉ひまりさんって、ちゅー、がとっても上手なんだって、ね?」


「だ、だ、誰に…き、聞いた…ん、でありま、しょうかっ!?」

「えっ?……う、噂よ、うわさっ!」

(やだあ、〝きすみん〟に聞いたなんて言えないっ!?)


「え、えっと……そゆうDVD…も、持ってるなら…そ、それ見ながら…れ、練習、しない?」


 そうでありました。

 本日のミッションは〝キスの上達〟でありました。

 ならば、恥を忍んで〝妃莉お嬢〟のエロDVDを可憐と一緒に見ながらレッスンに励むのが宜しかろうか!


 俺はシュークリームを食べ終わった(一つで充分だ)タイミングで席を立ち寝室に向かった。

 可憐はといえば、三つめに手を伸ばしていた。

(太るぞっ!)

 勿論、声にだしたりできませんが……怖くて(笑)。


 寝室の50インチ大型テレビの下にDVDプレイヤーと秘蔵のコレクションが鎮座している。

 どれが良かろうかと選んでいると背後から声がした。


「おっきなテレビね♡」

(ベッドも一人で寝るには大き過ぎない?……長い髪の毛他の女のとか、落ちてないでしょうね?)


「なっ!?……あ、アッチで待っててよ!」

「その大きなテレビで良いんじゃない?」

「い、いや……べ、ベッドに並んで…み、見る訳には…」

「なんで?……ベッドも充分大きいじゃない?」

「いや、だって……え、エロDVDを見るんだし……」


「ん?…なんで?……………………あっ⁉…むら、むら、しちゃ…な、な、なんでも、にゃいかりゃあっ!?」


 ご理解戴けたようで何よりです。

 前途多難ですぅ(笑)。



            【つづく】

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