第10話

次の日、目が覚める。


腕時計で時間を確認する。


6時か、商業ギルドに行くにはまだ早いかな。


収納から惣菜パンを3つ取り出し食べる。


さて、それじゃあ市場にでも行って物価でも調べますかね。


そう思い宿を出る。


昨日市場を案内されたが、忘れてしまった。


しかし心配する必要はなかった。


なぜなら道行くほとんどの人が市場に行く人たちだからだ。


市場に着くともう店を開いている場所もあるようだ。


見ると野菜だったり工芸品だったりアクセサリーだったりが売られていた。


野菜は大体100ダルから300ダルくらい、工芸品は500ダルくらいが平均、アクセサリーは1000ダルから高いと1万ダルくらいしていた。


しばらくすると美味しそうな匂いが漂ってきた。


その匂いの元へ向かうと串焼き屋だった。


「お、兄ちゃん買ってくか?オーク肉の串焼き、1本200ダルだぜ」


「じゃあ1本もらおうかな」


銅貨2枚を渡す。


「あいよ、串焼き1本ね、毎度あり」


どうも、とお礼を言う。


初のオーク肉、いただきます。


…うっま、なにこれ!


噛む度に肉汁がジュワッと染み出てくるぞ!


もう1本買っておけばよかった。


まぁまた後で来るか。


そのまましばらく市場を見て周り、時計を見ると8時の10分前になっていた。


そろそろ商業ギルド行っても大丈夫かな?


裏路地に入り、話をするためにまず黒胡椒と砂糖を出す。


昨日の容器は返してもらったのでその容器に入れる。


そしていざ商業ギルドへ。


「こんちわー」


「あら、昨日の方ですね、ようこそ」


そこには昨日の受付嬢がいた。


「こんちわ、昨日のマイクさんにお話があるんですけど、いますか?」


「マイクですね、いますよ、少々お待ちください」


そして上の階へ向かう受付嬢。


しばらくしてマイクさんを連れてきた。


「これはダイチ様、今日はどうされました?」


「昨日の黒胡椒と砂糖、新しく持ってきましたよ」


「本当ですか!あぁ立ち話もなんですからこちらへ」


と昨日と同じ部屋へ通された。


マイクさんが奥のソファ、俺が手前だ。


「はい、昨日と同じものです」


「確認させてもらいます。………砂糖の方は舐めてみても?」


「いいですよ」


「では失礼して、…確かに同じものですね、では昨日と同じ買取金額でお取引させてもらいます」


「はい、お願いします、それと今日は少し相談があって来たのですが」


「相談ですか?えぇ私に答えられるものでしたらなんでもお聞きください」


「では、実は商売をやってみたいのですが、露店で出すのに許可がいるのかとか、もし店舗を借りるとなったらどれくらいお金が必要なのかとかですね」


「なるほど、露店で商う場合は商業ギルドに登録する必要があります。それ以外に特に許可はいりません。ただ暗黙のルールがある場合があるので、気を付けるのはその辺ですね、店舗を借りる場合は許可が必要になってきます。必要経費はそうですね…店舗の大きさにもよりますけど、平均1000万ダルは必要になってきますね、ほとんどの方はローンを組んでやっていますよ」


「そうなんですね、まずは露店から始めようと思っていたので助かります」


「露店ですか、ちなみにどのような商品を売る予定ですか?」


「んー、逆にどんなものが売れると思いますか?」


「え?そうですね、市場で売るのでしたら日用品が売れるとは聞いたことがありますね」


「日用品かぁ、食器、コップ、フォーク、スプーン、ハンガー、洗濯バサミとかその辺ですかね」


「ダイチ様はその商品を仕入れる伝手がある、ということでしょうか?」


あ、やばい、ラ・ヴェールのことがバレる。


「えーっと、まぁそうですね」


「そうですか、ダイチ様はすごいお方だったのですね」


「え?あぁいや、そんなことありませんよ」


「それでは、仕入れもあるでしょうし、露店の準備もしなければいけなさそうなので、あまり長く拘束してもいけませんから、ささっと終わらせますか、買取金額は昨日と同じで構いませんか?」


「えぇ、大丈夫です」


「では、黒胡椒350g、砂糖350g、38500ダルで、そこからギルドの登録料を引いた28500ダルでお取引させてもらいます」


売買契約書と登録書ににサインをする。


「はい、それでは28500ダルとギルドカードです、ご確認ください」


「…はい確かに、それではこれで失礼します」


「また何かあったときはご相談ください」


「そのときはよろしくお願いします」


そう言い商業ギルドを後にした。

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