第9話

昼間…夕方か?にレオナたちに案内された宿屋へと向かう。


ここだ、木漏れ日の宿。


名前の通り観葉植物がたくさん飾ってある。


扉を開け中に入ると受付には女の子がいた。


15.6歳だろうか、ここの主人の子供かな?


「いらっしゃいませ、食堂はあっちだよ」


「あぁいや、泊まりでお願いしたいんだけど、空いてるかな?」


「あれ、食事のお客さんじゃないんだ、素泊まりなら2000ダル、2食付きなら3000ダルだよ」


「じゃあ素泊まりで10日お願いしようかな」


「食事はいいの?」


「あぁ、伝手があるからね」


「そう、お母さんのご飯美味しいのに、じゃあ2万ダルね」


俺は銀貨2枚を出す。


「食事をしたいときは払えば出してくれる?」


「えぇ、1食800ダルで出してるよ」


「そっか、じゃあその美味しいっていうご飯食べてみようかな」


「オススメだよ、部屋は3階の2号室、食事は朝は6時から8時、夜は5時から8時まで、遅れたら出せないからね」


後ろにある置時計を指しながら言われる。


「それと、宿の扉は夜の10時から朝の5時までは閉まってるから、気を付けてね」


「分かった、それじゃ早速ご飯食べようかな」


「食堂はあっちね」


指された方に向かうと美味しそうな匂いがしてきた。


うん、これは確かにオススメするだけあるな。


席は…空いていないみたいだな、待ってるかぁ。


と思っていたら


「おい兄ちゃん、ここ空いてるぜ」


とイカつい顔の男に誘われた。


「じゃ、遠慮なく」


席に座ると女の人がやってきた。美人さんだなぁ。さっきの女の子に似てる。この人がお母さんなのかな?


「いらっしゃいませ」


「800ダルでしたよね、すみません持ち合わせがなくて、半銀貨でもいいですか?」


「いいですよ、お釣りは食事と一緒に持ってきますね」


そう言い厨房へと戻って行った。


しばらくして食事が運ばれてきた。


黒パンにスープにサラダ、肉と異世界といったらこれだろメニューがズラっと並んでいる。


「ごゆっくりどうぞ」


「いただきます」


まずはスープ、うん、なかなか美味しいな。


次にパン。…かった、これはスープにつけて食べるものだな。


次、肉、…美味い、なんの肉かは分からないけど美味い、もしかしたらオークの肉だったりして…。


「それはボアの肉だぞ」


さっきのイカつい顔の男が話しかけてきた。


「ボア、そうですか、あ、俺ダイチって言います」


「俺はダンベルトだ、ダンって呼んでくれ、ダイチはどこか異国の旅人か?」


「え?なんで分かるんですか?」


「そりゃそんな顔立ちも髪色もここら辺じゃ見ないし、食べ物も珍しいものを見る目で見てたからな」


俺そんな顔に出るタイプだったっけ?


「そうです、ここからじゃ到底辿り着けないような場所から来ました」


「へーそりゃすごいな、なんて名前の国だ?」


「日本です」


「にほん?聞いた事ないな、本当に遠くなんだな」


「えぇ」


「ダイチはなにで稼いでるんだ」


「今は特に無いですね、出来れば商人として働きたいですけど」


「商人かぁ、俺は頭使いそうな仕事は勘弁だな」


「ダンさんは何してるんですか?」


「俺は冒険者さ」


「冒険者…!いいですね、俺も憧れます」


「冒険者はその日暮らしのやつが多いからな、夢のある職業ではあるが実際そんな楽しいもんじゃねぇ、お前は弱そうだからな、商人が向いてるぜ」


はっはっはと笑うダンさん。


そのまま食事を進め食べ終わったので食器を片付け部屋に戻る。


さてと、これからどうするかなぁ。


さっきダンさんに言われたように俺に冒険者は向いてない。


というかこのギフトがもう商人専用みたいなところがある。


とりあえず明日また商業ギルドに行ってそこら辺の話をしてみようかな。


今日はもう寝よう。


おやすみなさい。

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